インタビュー

夏前でも危険な熱中症
有効な対策はウオーキング

 熱中症に警戒しなければならないのは、最高気温が30度を超す盛夏だけではない。専門家によると、運動や作業をする環境によっては、梅雨入り前から状況に応じた熱中症対策が必要になる、という。どのような準備が必要なのか。東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)救急部診療部長の武田聡教授にポイントを聞いた。

  人間の体は、周囲の気温が低い冬には体の熱を奪われないよう放熱量の多い手足など皮膚表面近くの血流を抑えて発汗量を減らす。逆に夏には、体を冷やすために皮膚表面近くの血流を増やして放熱量を増やす。気化熱で体表面を冷やすために発汗量も増える。この働きは秋から冬、春から夏にかけて徐々に進んでいく。

 ◇意識的に「暑熱順化」を

 武田教授は「気温が急激に上昇すれば、体が暑さに対応する『暑熱順化』=用語説明=が間に合わず、梅雨入り前から熱中症になる危険が増える」と指摘。「日常生活の中である程度、意識的な暑熱順化のための取り組みが必要だ」とアドバイスする。

 ただ、暑熱順化といっても特別な行動は必要ない。体の負担にならない程度の散歩やウオーキングなどの軽い運動を毎日15~30分程度続けて体の代謝を良くする。入浴時には長めの半身浴など意識して発汗を促すことで、汗をかいたり、体表面の血管を開いたりして血量を増やし、体熱を放散する機能を少しずつ高めていく。このような取り組みの前後には、積極的に水分を摂取することも忘れてはいけない。武田教授は「気温や湿度の上昇などが昔に比べて急になっているので、激しい運動や炎天下で労働する人はもちろん、熱中症になりやすい高齢者や乳幼児も過度にならないような形で徐々に暑熱順化に取り組むことを考えてもよいだろう」と話す。

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