インタビュー

夏前でも危険な熱中症
有効な対策はウオーキング

   

 ◇暑さ指数を目安に

  熱中症への警戒でもう一つ重要なのが、「暑さ指数」(WBGT)だ。湿度と輻射(ふくしゃ)熱、温度の三つの指標を用い、湿度に高い比重を置いた一定の数式によって熱中症の危険性を示している。基本的には最高気温が各地で30度を超えて湿度も高い盛夏の時期を想定しているが、屋内で激しいスポーツや防火服などを着込んで作業する場合は、夏でなくても有効な目安となる。環境省のホームページでチェックすることができる。

 このWBGTに基づいて「危険」「厳重注意」「警戒」「注意」の4段階にリスクが分類され、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」などにも援用されている。

 ◇閉め切った体育館など警戒

 武田教授は、5月ごろまではまだ多くの地域のWBGTは「注意」段階だろうと予想。「日常生活の中で熱中症になる危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には注意する必要がある」とした上で、「例えばバドミントンの練習のために、風の影響を受けないよう窓を締め切った体育館や、熱が逃げにくく風通しも期待できない地下の作業現場などでは特に警戒してほしい」と言う。

 熱中症の重症度は3段階で、患者の半数以上は立ちくらみのような「めまいや失神」、こむら返りなどの「筋肉痛や筋硬直」、「手足のしびれや不快感」など比較的軽症の「Ⅰ度」に分類される。武田教授は「このような症状を訴えた場合、意識があるなら、涼しい場所で体を冷やしながら、水分や塩分を補給すれば症状は回復する。自覚症状が軽い段階から『熱中症かもしれない』と疑えるかで、その予後は大きく変わる」と強調。「湿度と気温がある程度高くなったときに疑わしい症状が出たら、まずは休んで水分補給をするようにしよう」と呼び掛けている。

 用語説明「暑熱順化」 周囲の気温が上昇する中で体温の上昇を防ぎ、体の熱を放散させるために起きる現象。主に、皮膚表面近くの血管を流れる血液量の増大や汗をかき始める体温などの低下や発汗量の増加などがある。また発汗量の増大による体内のナトリウム量の急激な低下を防ぐために、汗に含まれるナトリウム量の低下なども起きる。

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