Dr.純子のメディカルサロン
日本の喫煙者が肺がん患者に冷たい理由 澤祥幸・岐阜市民病院診療局長
澤 大切なのは、医学とともにアドボカシーやサバイバーシップ(がん診断・治療後の社会的支援)の成熟した国においては、喫煙率を低下させながら、肺がん患者に対して共感し、支援したいという思いが共有されることです。日本は、経済的にもヘルスケアシステムにおいても先進国の一つですが、国民個々のリテラシー(読み解く力)に関しては、アジアの中でも決して先進国といえない状況です。せっかく教育機会に恵まれた国に住んでいるのですから、高いリテラシーをもって、国民皆で、喫煙にはっきり「ノー」と言い、受動喫煙を完全に許さない社会になってほしいと祈っています。
(文 海原純子)
澤 祥幸(さわ・としゆき)
1984年岐阜大医学部卒業。岐阜大医学部付属病院勤務を経て、大阪府立羽曳野病院(現「大阪はびきの医療センター」)で呼吸器学、特に肺がんを研修。93年から岐阜市民病院で肺がんの集学的治療と臨床試験に従事。2006年に日本初のがん薬物療法専門医の一人に。02年から国際肺がん連盟(Global Lung Cancer Coalition)のボードメンバー、14年から世界肺がん学会アドボカシー委員として国際的な肺がん患者支援活動に参画。
(2018/09/04 14:42)