Dr.純子のメディカルサロン

禁煙の話に反発する人たち 第22回

 企業トップの喫煙に禁煙の部下は困惑

 健康経営の講演会で、ある企業の総務担当者から「うちの社長はヘビースモーカー。喫煙には甘い環境です。たばこを吸わない従業員は、喫煙者が仕事中にたばこタイムから帰ってきた時の臭いで不快な思いをしても、我慢をしている状況で、困っています」という意見が出ました。

 こうしたケースは非常に多く見られますし、受動喫煙に「ノー」というのは心理面からとても難しいものです。喫煙する上司に「ノー」と言える部下はまずいないでしょう。

 「完全分煙」をアピールするコーヒー店の看板(AFP時事)
 さて、喫煙者にどんなに穏やかに、冷静にエビデンス(証拠)を基に、たばこのリスクを伝えても、反発を受けることがしばしばです。それまでの態度が急変し、中には地雷並みの反応だな、と思わせる人さえいます。

 喫煙者に2タイプ

 喫煙のリスクを喫煙者に話すと、大きく二つのタイプの反応があります。

 一応は話を聞いてくれて、「悪いのは分かっているんですけどね。やめようと思うけど、なかなかやめられなくて」と苦笑いするような方。こうした方はお手伝いして後押しサポートをすると、家族のためや会社の健康経営のためというモチベーションの下に、禁煙の方向に行動修正する可能性を秘めています。

 一方で、完全拒否型の方がいて、こういう方は全く話を聞こうとしない点が特徴です。

  「個人の自由」「喫煙者に対する差別」「個人の嗜好の自由を制限する規制」「喫煙が悪いという事実はでっち上げ」

 こうした発言は多くの場合、声を荒らげて感情的です。喫煙に対して何かを話すと、攻撃されたという気分に陥り、瞬間的に反応してしまう状態です。ストレスが多く、気分が落ち着かず、たばこに依存している人の場合、そのたばこの問題点を指摘されると、責められているような気分になり、攻撃的な発言になりやすいと思われます。

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