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風疹、再び流行の恐れ
胎児に障害残すリスク

 ◇限られた「2次施設」

全国の各地区の相談窓口(2次施設)=日本産婦人科医会HPより
 検査を正確に実施することは重要だが、問題もある。風疹に感染した妊婦を診断した医療機関などからの相談に応じている各地区の「2次施設」と呼ばれる医療機関は、国立成育医療研究センターや国立病院機構横浜医療センター、九州大学病院など全国でもごく限られている。

 それを踏まえた上で田中教授は「胎児への感染やCRS発病の有無を確認するため、母体の感染が疑われている場合は、たとえ遠くても十分な機能と診療経験を持つ施設を受診し、必要な検査やカウンセリングを受けることを考えてほしい」と訴えている。

 特に胎児がCRSを発病した場合、妊娠継続の可否や出産時に必要とされる治療や支援について、カウンセリングや説明の形で必要な情報を得ることが大切だ。田中教授は「CRSだからといって必ず重度の障害を持つとは限らないし、事前に各分野の専門医が協力すれば対応できるケースも増える。一人で抱え込まないで、まずは医師に相談してほしい」と話している。

 ◇用語説明 先天性風疹症候群(CRS)

 風疹に感染した妊婦から胎内感染した胎児が出生後に示す後遺障害。先天性の心疾患や白内障、強度の難聴が3大疾患とされているが、網膜症や糖尿病、発達障害など発症まで一定の時間がかかる疾患もある。国立感染症研究所の研究では、感染し症状が出た妊婦の3分の1で母子感染が起き、その3分の1の胎児に何らかのCRSが起きるとされる。(時事通信社 喜多壮太郎・鈴木豊)

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