治療・予防

妊婦の初感染に注意
先天性トキソプラズマ症 猫が「犯人」扱いされた時代も

小島俊行 ミューズレディスクリニック院長

 ◇兆候あれば専門機関受診を

 たとえ初感染であっても、妊娠2週以前での発病は無い。ただ、3週目から14週までの感染では、胎児への感染率は7%と低いが、流産や早産、水頭症など重症度が高くなる。それ以降の週では症状は軽くなり、31週以降では感染率は60~70%と高くなるが、症状が出ない事が多くなる、といわれている。

 この点について小島院長は「問題になるのは妊娠初期」と指摘した上で、「現在では超音波エコー検査の技術が進歩し、週数の少ない胎児であっても状況はきめ細かく把握できるので、過剰に心配することはない」とアドバイスする。その上で、母体の精密検査が陽性であり、服薬治療を続けていているのに胎児の成育に異常の兆候が見受けられて、初めてトキソプラズマ症の疑いが強まる。この場合は、検査や診療にはそれなりの医師の経験や機材が必要なので、専門の医療機関を紹介してもらい、確定診断やその後の診療を委ねることを勧める。

 ◇猫犯人説は冤罪

 一方、原虫への感染の予防法については幾つかの説がある。昔から飼い猫が主な媒介動物と言われてきたが、小島院長は「飼育方法も大きく変わった現在では、野良猫でもない限り大きなリスクはない」と、「猫冤罪(えんざい)説」を採る。ただ、猫の排せつ物については他の寄生虫もいる可能性があるので、トイレの掃除や排せつ物の処理、庭いじりなどは避ける方がいい、という。

医療機関のリスト(トキソプラズマ妊娠管理マニュアル第3版より)

 むしろ注意すべきは、加熱が不十分な魚類を除く肉料理。生肉はもちろん、鶏肉のたたきやローストビーフのような料理でも要注意だ。「とんかつや鶏の空揚げでも、中心までよく火の通ったものを食べる程度の注意は必要。妊娠中だけでなく、妊活を始めた人は特に注意をしてもらいたい」と小島院長は注意を喚起している。

〔用語説明〕トキソプラズマ
 ネコ科の動物を最終宿主とする単細胞の寄生原虫。成長・繁殖の過程で人やネズミなどの哺乳類や鳥類など恒温動物を中間宿主とする。人への感染は汚染された土や砂を触った手が汚染されて起きる経口感染や、加熱不十分な食肉の直接摂取による場合が多い。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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