ヘルスコミュニケーションDr.純子のメディカルサロン

お酒の飲み方次第で歯が溶ける!?
口腔の健康は糖尿病・認知症にも関係します 小林隆太郎・日本歯科大学口腔外科教授


 ◇歯周病と糖尿病に相関関係

 海原 お酒を飲むときはチェイサーとしてお水を時々飲んでおくのがいいのですね。では、口腔内が清潔でないことと、糖尿病とは、どのような関係があるのでしょうか。

 小林 糖尿病と歯周病の間には、双方向の関連性があると言われています。すなわち、糖尿病が歯周病の進行を促進し、一方、こうして重症化した歯周病が、逆に糖尿病の病態に悪い影響を及ぼすという内容です。

 歯周病による炎症物質がインスリンの働きを妨げ、血糖値が上がると言われているからです。

音楽に合わせてガムをかみながら木製ダンベルを上げたり下ろしたり。ガムをかむことでそしゃく力も向上させる体操=東京都豊島区の高岩寺(写真と本文は直接関係ありません)


 海原 認知症との関わりも気がかりな方が多いと思います。認知症を防ぐ上で注意しておきたいポイントはありますか。

 ◇かむことが大事

 小林 やはり、口腔内の健康が関係しているようです。マウスを使った研究で、歯周病やソフトダイエット(流動食)が認知症を来すことが明らかになりました。

 そしゃくの低下が直接、認知機能障害を引き起こすのではないかと考えられています。種々な研究により歯周病とアルツハイマー型認知症の関連が示唆されています。

 そこで今後、歯周病の予防や口腔ケアによる介入、そしゃくリハビリテーションなどにより、そしゃくそのものを増強させる介入によって、認知症を防げるかなどの臨床研究が重要とされています。

 海原 かむことが認知症の予防になるのですか。

 小林 歯科と認知症の関連のメカニズムについて簡単に説明しますと、まず一つは、歯周病という慢性炎症で脳内炎症が引き起こされ、アルツハイマー病病態が増悪し、認知症を誘発する場合です。

 もう一つの要因としては、抜歯や歯の欠損でソフトダイエットになり、そしゃく機能低下が起こり、海馬神経が脱落し、認知症を誘発するという場合です。

 従って、適切にかめることは、そしゃく機能の維持に大切なことであり、認知症誘発予防に関連があると考えられています。今、いろいろな研究が国内外で行われています。

 海原 きちんとかむことができる歯を維持しておくことが大事なんですね。歯の健康というと、食後の歯磨きがすぐ頭に浮かびますが、仕事やお付き合いのお酒の席の後のケアや歯周病予防も大事ですね。

(文 海原純子)

 小林 隆太郎(こばやし・りゅうたろう)

 1984年日本歯科大学歯学部卒業、89年同大学大学院歯学研究科博士課程修了。同大学歯学部口腔外科学教室第2講座講師、同大学歯学部附属病院顎変形症診療センター長、同附属病院口腔外科助教授を経て、2010年から日本歯科大学口腔外科教授。09年からは同大学附属病院医療管理室長を併任。
 日本歯科医学会歯科医療協議会座長、同医学会常任理事、日本生活習慣病予防協会参事を務める。

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