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血液中の赤血球に含まれる酸素の運搬役であるヘモグロビンの量が減ることで発症する貧血。日本は先進国の中で発症例が多いといわれるが、その危険性に対する認識は十分ではない。貧血外来の看板を掲げるナビタスクリニック新宿(東京都新宿区)の濱木珠恵院長は「貧血になると酸欠状態が続き、代謝が低下します。深刻な症状が表れる例もあるため、軽く考えずにきちんと治すことが大切です」と指摘する。
こんな症状があれば貧血の可能性も
▽高齢者で心不全のリスクに
成人男性でヘモグロビン値が13g/dL未満、成人女性は12g/dL未満、妊婦や幼児では11g/dLの場合に貧血と判断される。貧血には幾つかの種類があるが、国内で最も多いのは、ヘモグロビンを作るために必要な鉄分が不足する鉄欠乏性貧血だ。
濱木院長は「鉄分不足になる原因には、バランスの悪い食事やダイエットなどによる摂取不足、成長期や周産期、授乳期における需要の増加、月経やけが、潰瘍やがんなどによる出血の三つがあります。スポーツで大量の汗とともに鉄分が排出されて、それが原因になることもあります」と説明する。
鉄分が不足すると、体中の組織が酸欠状態となるため、めまいや頭痛、失神、肩凝り、疲労感、息切れ、動悸(どうき)、胸痛などさまざまな症状が表れる。また、細胞の新陳代謝が低下するため、爪が反り返る、割れやすくなる、肌荒れ、抜け毛なども見られる。無気力になり、ボーッとした様子がうつ病と間違えられることもある。
濱木院長は「貧血になると、心臓から拍出された血液が運搬する酸素量が減るので、心臓が脈拍を上げて運搬回数を増やそうとします。その結果、心臓に負担がかかり、高齢者では心不全を起こしやすくなるため、注意が必要です」と警鐘を鳴らす。
▽食事から鉄分の摂取を
鉄欠乏性貧血は、鉄剤による治療で改善が可能だ。赤血球が新たに作られて、貯蔵鉄の指標であるフェリチンが十分な数値になるまで4~6カ月かかるため、半年間、治療を継続することが望ましい。病気による出血が原因の場合はその治療が必要となる。
濱木院長は「鉄分は食事で摂取することが大前提です。肉や魚介、小松菜やホウレンソウ、鉄分を吸収しやすくするビタミンC、赤血球の生成に関わるビタミンB12などを組み合わせてバランスの良い食事を取ることが大切です。普段の食事で意識して鉄分を摂取することを心掛けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/21 06:00)
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