医学生のフィールド

教室飛び出して学び、交流するサマーフェス
学生団体「Medical Future Fes」

 教室に閉じこもるのではなく、外の世界に飛び出してさまざまなことを学び、全国の仲間たちと交流しながら新しい時代の医療を創り上げていく。「Medical Future Fes」(MFF)は、医療系の学生たちに、こうした出会いの場を提供する学生団体だ。

 毎年8月に学生が主体となって、興味のある医療関係のテーマを取り上げるイベント「メディカルサマーフェス」を開催している。代表の昭和大学薬学部4年若林雛子さんに話を聞いた。(聞き手・文 医療ライター・稲垣麻里子)

 ◇自主イベント重ね、3年前に組織発足

 ―MFFの活動はいつから行われているのですか。

 代表の若林雛子さん

 若林さん 今から5年ぐらい前、医療系の学生の間ではイベントがブームだったんです。当時はいろいろなイベントが全国各地で開催されて、たくさんの学生が参加していました。MFFの原点にあるグループも、2013年から全国500~600人の医療系学生を集めてイベントを開催し、終わると解散するということを繰り返してきました。

 せっかくみんなが集まってイベントを成功させてきたなら、いっそのこと団体をつくって、イベントの企画や運営のノウハウを共有して下の代に伝えていった方がいいと、16年にМFFを組織化したのが始まりです。

 ―どのような目的で活動されているのでしょうか。

 若林さん 医療系の学生は毎日授業が結構詰まっていて、授業と部活をやっていると、それだけでほとんど時間がありません。しかも、部活に力を入れている大学が多く、ほとんどの学生が医療系学生のみの部活に所属して大会の遠征にも参加しています。

 МFFではこうした学生たちのために、限られた時間の中で機会をつくって、普段の授業や生活では学べないことを学び、将来のことを一緒に考えるための場づくりをしています。

 ◇みんなで共有したいテーマ企画

 ―若林さんはどんなきっかけで参加されているのですか。

 若林さん 私は大学2年の時間にSNS(インターネット交流サイト)でМFFのことを知りました。イベントの内容や企画に興味があったので、17年のサマーフェスで初めて参加しました。昨年(18年)は副代表として、企画の立ち上げから一通り経験しました。

 ―2年目で企画の立ち上げからすべて関わるとはすごいですね。昨年のサマーフェスはどのような内容だったのでしょうか。

 若林さん 2年越しの念願だった落合陽一さんに基調講演をお願いし、実現することができました。

 2018年のメディカルサマーフェスの様子(MFF提供)

 ご存じのように、落合さんは研究者、大学教員、メディアアーティスト、実業家とさまざまな肩書を持ち、幅広く活躍されています。日本は超高齢社会を迎え、人口減少や少子化、年金の問題で先行き不安な状況ですが、オンラインサロンで落合さんが、テクノロジーで社会を変えるというポジティブな話をされているのを聞いて、とても興味を持ち、希望も持つことができました。

 この考え方を学生たちと共有したいという強い思いが湧き上がり、「医療系学生に向けて、医療とテクノロジーをテーマにした話をぜひしてほしい」と、落合さんにお願いしたのです。

 この講演は学生だけでなく、たくさんの社会人の方にも参加していただき、予想を超える反響がありました。

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