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白血病は血液のがんであり、がん化した血液が体内を巡ってさまざまな症状を引き起こす。日本では年間10万人に約6人の割合で発症する。白血病は急性と慢性に分けられ、比率は約4対1。急性の約8割を急性骨髄性白血病が占めるという。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)血液腫瘍科の南陽介科長は「急性骨髄性白血病にはさまざまなタイプがあり、必ずしも不治の病ではありません。治療法が進歩し、社会復帰をしている方も多くいます」と語る。
1急性骨髄性白血病の症状は全身に及ぶ
▽歯茎や皮膚にも症状
血液は血漿(けっしょう)と呼ばれる液体成分と、血球という細胞成分でできている。血球には赤血球、白血球、血小板の三つがあり、それぞれに違った役目がある。赤血球は全身に酸素を運び、白血球はウイルスや細菌を排除する免疫機能を担い、血小板は損傷した血管をふさいで止血する。この三つは、造血幹細胞という細胞から分化し、骨の中の骨髄で作られている。
急性骨髄性白血病は、分化の過程でがん化した細胞成分(白血病細胞)が骨髄の中で急激に増え、正常な血液が作られるのを妨げてしまう病気だ。南科長は「貧血や倦怠(けんたい)感、発熱、歯茎の出血や皮膚にあざのような紫斑ができるなど、症状は全身に表れます」と話す。
原因は、血液を作る細胞の遺伝子に傷が付くためだと考えられているが、どのような過程を経て傷が付くのかは、詳しく分かっていない。
▽抗がん剤でがんを退治
急性骨髄性白血病は、血液検査である程度分かるが、針を刺して骨髄液を吸引し(骨髄穿刺=せんし)、顕微鏡で調べることで診断が付く。併せて遺伝子と染色体の検査も行い、どの治療が適しているかを調べる。
標準的な治療は、抗がん剤による寛解(かんかい)導入療法だ。入院して抗がん剤を点滴し、骨髄内の白血病細胞の割合が5%以下になること(完全寛解)を目指す。血液細胞の回復を待ち、再び抗がん剤を使って、白血病細胞をさらに減らすための地固めを何回か行う。タイプや年齢に応じて、傷ついた遺伝子を持つ細胞だけを破壊する分子標的薬の併用や、造血幹細胞移植が選択されることもある。
南科長は「急性骨髄性白血病は、現在多くの研究、薬や治療法の開発が行われています。治療は長期にわたりますが、焦らずに一つずつ乗り越えていくことが、病気の克服につながります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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