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病院に長い間通ったのち担当の医師から、「もう病院に来なくても大丈夫ですよ」と言われ、強い不安を抱いた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。また、大きな病院から近隣のクリニックに紹介されると、何となく見捨てられたような気持ちになってしまう患者さんもいます。
もちろん、医師が患者さんを「見捨てる」ことは決してありません。
大きな病院で通院終了を告げられても不安になる必要はない
◇通院期間の目安がある
消化器が専門の私は、胃がんや大腸がんの手術を受けた患者さんに、定期的に外来通院していただくことがよくあります。こうしたケースでは、患者さんの体の状態が良く、再発もなければ、術後5年で通院終了となるのが一般的です。術後5年以内に再発がなければ、その後の再発リスクは極めて低いためです(もちろんがんの種類によって年数は異なります)。
ところが、通院を終了してもよい旨を伝えると患者さんから、「軽く診察してもらうだけでいいから、もう少し通院を続けさせてほしい」と言われることがしばしばあります。むろん5年間も通院していたのですから、不安になるのは当然です。
◇行動の指針を聞く
しかし、新たに病院に通うべき患者さんは毎日のように増えています。病院に通う必要がなくなった方から定期的な通院を終了していかなければ、外来はパンクしてしまいます。
「通院の必要がない」と判断された時は、見捨てられたような気分になって思わず落胆してしまうかもしれませんが、むしろ、「次にどんなことがあれば受診すればいいのか」「その時はどの外来に行けばいいのか」といった具体的な行動指針を医師から聞き出しておく方が安心でしょう。
◇「かかりつけ医」を味方に
大きな病院の外来に通っていた患者さんに、近隣のクリニックの先生を紹介し、そちらへ通院していただく、というケースもあります。あるいは近隣のクリニックからの訪問診療という形で、在宅での治療を導入するケースもあるでしょう。
大きな病院では、精密検査や手術はできますが、どうしても小回りが利きません。重症の患者さんが多い分、外来では一人の患者さんにかかる時間が長くなり、長い待ち時間が発生することもしばしばです。
自宅からのアクセスが良く、必要な時に大きな病院に紹介してもらえるクリニックの先生を「かかりつけ医」として味方につけておくことは非常に大切です。
大きな病院への通院が必要というわけではないものの、薬の処方を続ける必要がある、といったケースでは特に、かかりつけ医を頼るのが患者さんにとっても有利です。
◇より適切な場所に移動
がんに関して言えば、近年では「がん地域連携パス」を導入している地域もあります。病院の通院終了後にクリニックにバトンタッチするのではなく、病院への通院期間中にクリニックにも通院することで機能を分担し、ひいては患者さんの負担を減らそう、という仕組みです。
医療は時代とともに細かく専門分化しています。地域においてそれぞれの医療機関で細かく分業しながら協力体制を築くことが重要です。他の医療機関に紹介された時は、「今の自分にとって、より適切な役割を持つ場所に移動するのだ」と捉えていただけるとありがたいと思います。(医師・山本健人)
**この記事は長山整形・内科(大阪府堺市)の長山郁惠先生(腎臓専門医)に監修いただきました。
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