治療・予防 2024/11/18 05:00
筋肉の硬直やけいれん
~スティッフパーソン症候群(徳島大学病院 松井尚子准教授)~
新型コロナウイルスによる感染症の国内感染が、終息の兆しを見せない。安倍晋三首相が大規模イベントの中止に続き学校の臨時休校を全国一律に求め、鈴木直道北海道知事は「緊急事態宣言」を出して週末の外出を控えるよう呼び掛けた。長年、海外からの輸入感染症の問題に取り組んできた東京医科大学病院の濱田篤郎教授(渡航医学)は「各地域の感染者の数は少なくても、感染が全国的に広がり、ある時に一挙に拡大することも考えられる」と危惧する。「動物に由来する『新興感染症』=用語説明=がこれほどの速度でアジア、欧州、中東など世界全体に広がったのは初めて。非常に重要な事態だが、まだまだ危機に対する意識は不十分だ」と強調する。
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◇歴史的な流行か
歴史的に見ると、数千万人単位の死者を出した中世のペストや近世のコレラなどの感染症が記録されているが、ほとんどは特定の地域の風土病が各地に急激に拡大して多くの死者を出したケースだ。
一方、インフルエンザのように世界的な流行を反復する感染症もあるが、こちらは流行を繰り返す中で、ある程度の免疫が獲得されているために感染と被害は一定の規模に限定されてきたとされる。
「検疫や隔離など社会的な対策が広まり、さらにワクチンや抗菌薬が登場してからは、感染症の被害は押さえ込めるようになっていた。しかし、今回のウイルスは突然出現して拡散したため、治療薬やワクチンが間に合わず、あっという間に拡散してしまった。感染制御に有効だったのは昔ながらの感染地区の封鎖や患者の隔離だけだ。その意味では歴史的な流行と言えるのではないか」。濱田教授はこう分析する。
濱田篤郎東京医科大学教授
◇点から面への拡大懸念
特に、日本の流行状況には警戒すべき点がある。韓国やイランでは特定の地域に患者が集中して見つかっているが、日本では全国各地に感染経路が見えてこない患者が点在する形になっている。
この点について濱田教授は「点に見える患者も誰かから感染させられたわけで、周囲を感染させている可能性もある。この状態が進めば、感染が点から面になる恐れもある」と懸念する。
感染の有無の診断に欠かせない検査態勢の整備が進んでいるとは、言い難い。症状が出ない不顕性感染者や軽症の患者が見落とされている可能性がある。このため、感染拡大に歯止めがかからず、患者の増加を引き起こす可能性もある。
(2020/03/02 15:35)
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