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睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、周囲の睡眠を妨げるほどのいびきや日中の眠気などの症状でよく知られている。しかし重要なのは、実は高血圧症などの循環器系疾患との関連が強い点だ。国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)睡眠時無呼吸外来の佐田誠医師に聞いた。
周囲の睡眠を妨害するほどの激しいいびきと日中の眠気
▽二つのタイプ
SASは睡眠中に何度も呼吸が止まる病気で、主な症状はいびきや眠気、倦怠(けんたい)感などである。「簡易検査で、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる無呼吸、もう少しで止まりそうな低呼吸のいずれかが、平均して1時間に5回以上あれば、SASの可能性があります」と佐田医師は説明する。
SASには二つのタイプがある。一つは、空気の通り道である上気道が狭くなって空気の流れが滞り、ついには完全に閉塞(へいそく)して呼吸が止まる閉塞性タイプ。もう一つは、呼吸を命じる脳からの信号が一時的に送られなくなる中枢性タイプだ。
SASのほとんどは閉塞性で、いびきを伴う。あおむけに寝ている時に舌が喉の奥の方に落ち込み、上気道が狭まり呼吸が妨げられる。舌の周りに脂肪が付いている肥満の人や、生まれつき顎が小さくて上気道自体が狭い人は上気道が閉塞しやすい。いびきは、狭くなった上気道を空気が通る時に生じる音で、肥満でなくてもいびきをよくかく場合はSASが疑われるという。
▽サイン見逃さず受診を
無呼吸や低呼吸になると、血液中の酸素濃度が低下する。血液中の酸素濃度の正常値は96%以上だが、無呼吸時にはしばしば90%以下となる。これは、呼吸不全で酸素吸入が必要なレベルだ。酸素濃度の低下は体にとって非常事態。交感神経の活動が高まり、心臓は全身に酸素を供給しようと心拍数を上げ、血圧も上がる。つまりSASでは、睡眠中に心臓に負荷がかかり続けているわけで、これが続くと高血圧症を来す。「閉塞性SAS患者の50%に高血圧が認められ、高血圧症患者の30%に閉塞性SASが認められるとの報告があります」
中高年になり、体重は若い頃とさほど変わっていないのに、健康診断で血圧が高いと言われた、あるいは降圧薬を飲んでいるのに効果が表れないなどの場合、背後にSASが潜んでいる可能性がある。朝方の頭痛や夜間頻尿もSASのサインとなる。
佐田医師は「睡眠中の無呼吸は脳卒中、狭心症、心筋梗塞など循環器系の病気による死亡リスクを5.2倍に高めるとの調査結果があります。夜間に起こる突然死のリスクも増えます。疑わしい症状があれば、早めに受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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