治療・予防 2024/11/22 05:00
ドナーの食べたもので輸血副反応?
~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
幼児に生じる難聴の原因の一つに先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症がある。CMVは妊娠中の母親から胎児への感染頻度が高いウイルスだが、尿や唾液を介して小さな子どもから母へも移りやすい。神戸大学医学部付属病院産科婦人科の山田秀人教授に聞いた。
ポイントを押さえて感染予防を
▽発達や運動にも問題が
CMVは、どこにでも存在するありふれたウイルスだ。感染するとまれに風邪のような症状が表れるが、ほとんどが無症状であることから、通常は感染が分からない。多くは幼少時に感染し、ウイルスは生涯体内に潜伏する。日本では成人女性の約70%が感染して抗体(免疫)を持っているとされる。しかし、抗体を持たない妊婦が妊娠中に感染した場合、生まれてくる赤ちゃんに異常を来すことがある。これが先天性CMV感染症で、毎年出生児のおよそ3000人が感染し、1000人程度に症状が表れる。
「抗体を持たない妊婦の1~2%がCMVに初感染し、そのうちの30~40%が胎児に感染するといわれています。主な症状は、出生児の低体重や貧血、肝臓や脾臓(ひぞう)の肥大、頭が異常に小さい小頭症などです。また、生まれた時には症状がなくても、半年以上たってから難聴や心身の発達の遅れ、運動障害などが表れることがあります」と山田教授は説明する。
▽せっけんで手洗いを
先天性CMV感染症の診断は、生後3週間までに採取した新生児の尿からCMVを検出して行う。CMVが検出された場合は、脳波で聴力を測る聴性脳幹反応検査や眼底検査などを行い、さらに詳しく調べる。近年、抗ウイルス薬による治療が試みられ、難聴などの改善効果が期待されている。
妊婦におけるCMVの主な感染経路は、先に生まれた子を含む周囲の子どもだ。CMVに感染している子どもの唾液や尿にウイルスが存在することから、子どもがいる妊婦の場合、家庭内で感染すると考えられている。子どもの世話をしたり触れ合ったりした後はその都度、せっけんを使ってしっかり手を洗うことが感染予防につながる。
山田教授は「だからといって過度に子どもを避ける必要はありません。子どもには愛情を持って接し、親子で手指衛生を心掛けてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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