治療・予防 2024/11/22 05:00
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起立性低血圧は、寝ている状態や座っている状態から急に立ち上がった時に血圧が下がり、立ちくらみやめまい、目のかすみなどの症状が起こる。しゃがんだり横になったりすると症状は徐々に消える。伊藤メディカルクリニック(東京都新宿区)の伊藤幹彦院長は「起立性低血圧は、原因がなく健康上問題がないものと、他の病気の症状として起こるものとがあります」と話す。
立ち上がる時は、一呼吸置いてから
▽脳の血液量不足
人は立ち上がると心臓に戻る血液量が重力の関係で減少し、血圧が下がる。通常は自律神経が末梢(まっしょう)の血管を収縮させ、心拍数を上げることで血圧が急激に下がらないよう調節されている。ところが痩せて体力が無い人や高齢者、日頃から血圧の低い人はこの調節がうまくいかず、脳への血液量が減少して立ちくらみなどの症状を起こす。これを起立性低血圧といい、失神や転倒でけがをすることもある。伊藤院長は「ベッドから起き上がった時や、入浴中に浴槽から出た時、トイレで排尿や排便後に立ち上がった時などに見受けられます」と説明する。
さらに糖尿病や甲状腺の病気、心臓病や高血圧などの治療薬が原因で起立性低血圧が起こることもある。「頻繁に起立性低血圧が起こる場合は、他の病気が隠れていないかきちんと検査する必要があります。また、高齢者は持病が多く複数の薬を服用しているケースがあるので要注意です」と伊藤院長。
▽動作はゆっくりと
検査は、寝ている状態と立ち上がって3分以内の血圧を測定する。立ち上がった後の収縮期(最高)血圧が20mmHg以上、拡張期(最低)血圧が10mmHg以上低ければ起立性低血圧と診断される。他の病気が疑われる場合は、血液や心電図、超音波の検査に加え、服用している薬のチェックも行う。
他の病気がなく、自覚症状が軽度の場合は特に治療は行わない。脱水に注意し、睡眠不足を防ぐなど、生活習慣の改善に努め、ウオーキングなどの適度な運動を心掛ける。体力面に問題がある場合、同院では漢方薬を処方している。
伊藤院長は、起立性低血圧を起こしやすい人に対して、「立ち上がる時は、ゆっくりとした動作を意識してください」とアドバイスする。起床時はベッドに腰を掛けて、一呼吸置いてからゆっくりと立ち上がる。浴槽やトイレで立ち上がる時も同様だ。その上で、「起立性低血圧は誰もが起こす恐れがあります。原因となる病気がある場合は、きちんと治療を行ってください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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