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健康診断の項目でよく見掛ける「尿酸値」。血液1デシリットル中の尿酸が7ミリグラムを超えると高尿酸血症と診断される。それ自体に自覚症状はないが、長く続くと痛風などを起こす恐れが高まる。痛風を発症していない高尿酸血症(無症候性高尿酸血症)にどう向き合えばよいか、複十字病院(東京都清瀬市)膠原(こうげん)病リウマチ科の谷口敦夫医師に聞いた。
尿酸値と痛風の関係
▽男性の25%が高尿酸血症
尿酸は、ヒトを含めた生物の細胞に含まれるプリン体が分解されて生じる。体内で作られる量が多過ぎたり、腎臓からの排出が低下したりすると高尿酸血症となる。その状態が続くと、結晶化した尿酸が関節にたまり、足の親指に腫れと激痛が走る痛風が生じる。
高尿酸血症は男性の25%前後(女性は数%以下)に、痛風は20歳以上の男性の1.5%程度に認められると推定されている。高尿酸血症、痛風ともに、食生活の変化などに伴って患者数が増加している。
尿酸値が高いと痛風発症のリスクが高まり、9ミリグラム/デシリットル以上の無症候性高尿酸血症患者を追跡調査すると1年当たり5%の人で痛風が生じたという米国の研究結果もある。他にも、尿酸値が正常の人と比べて慢性腎臓病、尿路結石、高血圧、メタボリックシンドロームなどを来しやすい。
▽肥満を解消、飲酒は適量に
高尿酸血症と診断されたら、症状がなくても合併症の予防を意識したい。「まず生活習慣の改善です。それが体全体の健康につながります」と谷口医師は強調する。肥満を解消し、プリン体を特に多く含むレバーなどの内臓肉や果糖を含む清涼飲料・果汁飲料の摂取を控え、アルコールは適量に、といった具合だ。水分を適切に取りつつ、歩行やジョギングなどの有酸素運動を1日30~60分程度行うのもよい。
生活習慣の改善に加えて薬で尿酸値を下げる治療も、痛風を予防できると考えられる。一方で、痛風以外の合併症を予防できるかについて定説はなく、症状がない高尿酸血症患者に一律に尿酸降下薬を使うのは副作用や医療費の点でも課題があるという。「無症候性高尿酸血症では、尿路結石合併の有無や尿酸値の高さ、家族に痛風患者がいるかどうかなどを考慮して、尿酸降下薬の使用を検討します」と谷口医師は説明する。
普段の健診結果を見る時のアドバイスとしては、「尿酸値だけではなく、体重、血圧や腎機能、コレステロール値などにも注意する」「1回だけの数値ではなく、過去数年間の動きに着目する」などを挙げた。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/01/30 05:00)
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