治療・予防 2024/11/22 05:00
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喉仏にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌して全身の代謝を調節する甲状腺。橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きる病気で、慢性甲状腺炎とも言われる。横浜関内わだクリニック(横浜市)の和田修幸院長に予防や治療法について聞いた。
橋本病の症状と治療のポイント
▽自己抗体が過剰に産生
橋本病は女性に多く見られ、若年から高齢まで幅広い年齢層で発症する。自分の甲状腺に対して自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体)が過剰に作られ、甲状腺を攻撃し続ける。それにより、甲状腺ホルモンの分泌が減り、甲状腺機能が低下した状態(甲状腺機能低下症)になることがある。すると、新陳代謝が衰えて、倦怠(けんたい)感やむくみ、眠気、生理不順などを生じ、甲状腺が大きく腫れる例もある。
甲状腺機能低下症になると、不足している甲状腺ホルモンを補うために甲状腺ホルモン薬(チラーヂン)の内服を開始するが、甲状腺機能が正常であれば治療は必要ない。一方で「甲状腺ホルモン値が正常であるにもかかわらず甲状腺が腫れる人もいますが、見た目に影響がなければ基本的に治療はしません」と和田院長。
一方、甲状腺ホルモンの主原料であるヨウ素を含む食品を過剰に取ると、甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症になることがある。そのため、患者の中にはヨウ素が含まれるワカメやヒジキなどの海草類の摂取を避ける人もいる。和田院長は「大量に取らなければ問題はありませんが、コンブはヨウ素の含有量が特に多いため注意が必要です」と話す。
▽無症状でも定期的な検査を
橋本病と診断されたら、無症状でも定期的に受診し、甲状腺機能検査を受けて様子を見る。自覚症状がなく、通院を中断してしまう人もいるが、中高年や高齢者、妊娠を希望または妊娠中の人は注意が必要だ。「徐々に症状が表れる人がいます。甲状腺機能が低下すると代謝が落ちて、悪玉コレステロール値が上昇することがあるため、もともと高めの人は注意しましょう」と和田院長。
甲状腺機能の低下は不妊や胎児の発育に影響したり、流産や早産のリスクになったりすることもあるため、甲状腺ホルモン値を正常な状態に保つことが大切だ。
「自覚症状がある、不妊治療でなかなか妊娠しない、食事に注意していても悪玉コレステロール値が高い人などは甲状腺機能が低下している可能性がありますので一度検査を受けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/02/02 05:00)
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