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高血圧性腎硬化症は、高血圧を原因とする動脈硬化により腎機能が低下する病気だ。近年急激に増加し、透析患者の原因疾患調査では、2018年に慢性糸球体腎炎と並び第2位になっている。日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)腎臓・高血圧・内分泌内科の阿部雅紀教授は「大半が健康診断で偶然発見されます。腎機能を長く保つためにも、健康診断で見つかったら放置せずに、必ず医療機関で詳しい検査を受けてください」と呼び掛ける。
降圧薬の服用、減塩、運動を心掛けて
▽発症には加齢も関連
高血圧性腎硬化症は、初期にはほとんど自覚症状がなく、尿に異常が出ることもまれである。健康診断で血液中のクレアチニン値の上昇を指摘され、受診に至るケースが大半だ。阿部教授は「クレアチニンは老廃物で、本来腎臓でろ過され尿として排せつされます。それが血液中に多いということは、症状が無くても腎機能が低下している証拠です」と説明する。腎臓は血管が豊富な臓器であり、腎血管の動脈硬化が進むと血管が細くなり老廃物がうまくろ過できなくなる。腎臓は次第に萎縮し、一部の患者は透析が必要になる。
発症は、加齢との関わりが強い。透析導入の平均年齢を見ると、糖尿病性腎症が67.2歳なのに対し、高血圧性腎硬化症は75.0歳と高い。これは、加齢に伴い血圧が上昇し、動脈硬化が進むからだ。「年齢にはあらがえませんが、早期に血圧管理や生活習慣の改善を行うことで、透析までの期間を延ばせます」
▽降圧、減塩、運動を
血液検査や尿検査で他の腎臓病がないかを確認し、コンピューター断層撮影(CT)などの画像検査で腎臓の萎縮を調べる。高血圧性腎硬化症は進行が比較的ゆっくりで、中にはほとんど進行しないケースもある。
治療は、血圧の管理が最も重要だ。「降圧薬の服用とともに、減塩と定期的な運動を心掛けましょう」と阿部教授。塩分を取り過ぎると腎臓に負担をかけるので、1日6グラム未満に抑えるようにする。「普段から薄味の食事に慣れておくと、将来の腎臓を守ることにつながります」
高血圧性腎硬化症の人は腎血管以外でも動脈硬化が進んでいるので、心筋梗塞や脳梗塞などに注意が必要だ。阿部教授は「年に1度は必ず健康診断を受け、血液検査と尿検査の項目をチェックしてください」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/05/08 05:00)
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