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一般に視機能の発達は生後6週から始まり、6~8歳で完了する。しかし、正常な視覚刺激が与えられず視機能が未発達な状態(弱視)の子どもは約50人に1人と多い。杏林大学医学部付属病院眼科(アイセンター)の鈴木由美講師によると、早期治療により改善可能で、「3歳児健康診査」が鍵を握る。その重要性について聞いた。
一次検査は家庭で行う
▽早期治療で正常に
乳児の視力は生まれた直後から徐々に上がり、4歳前後で1.0程度になる。眼球の構造に異常がないのに、斜視(目の位置の偏位)や不同視(視力の左右差)、高度の屈折異常(遠視や乱視)により視機能発達が妨げられた状態が弱視だ。
「適切な時期に弱視を発見、早期治療を行うことで、就学までに両眼の矯正視力1.0の獲得が期待できます。しかし、治療が遅れると、就学までに両眼の視力が整わず、学習に影響を及ぼす可能性があります」と鈴木講師は説明する。
▽両親の協力が大事
重要な鍵が、1990年に視覚検査が追加された3歳児健診だ。「視覚検査は法令で定められ、家庭での問診記入と視力検査(一次検査)、保健センターでの小児科医などによる問診の確認や視力検査など(二次検査)が行われます。要精密検査となると、眼科を受診します」と鈴木講師。
「現在、一次および二次検査での弱視の見逃しが課題となっており、一部の自治体では国家資格の視能訓練士が二次検査に関わったり、屈折検査を導入したりする取り組みが行われています」
治療は、専用眼鏡の終日装用が最も大切で、良い方の目(健眼)をアイパッチ(眼帯)で覆う健眼遮蔽(しゃへい)や点眼薬で健眼をぼやけさせる治療もある。いずれも弱視眼を強制的に使わせることが狙いだ。
健眼遮蔽による弱視訓練は、家庭内で眼鏡を掛けて、毎日2~3時間行う必要があるが、特に不同視弱視(片方の目だけが弱視)の場合、治療を嫌がる子どもは少なくない。
「訓練時には、ご両親と一緒に大好きなアニメのDVDを観賞、本の読み聞かせや積み木遊びなど、楽しいことが待っていることを伝えるのも一案。3歳児健診での早期発見はもちろん、治療についてはご両親の積極的な関わりが大事です」
日常生活で両親や周りの大人が気付くことはなかなか難しいという。まずは3歳児健診を受けることが重要だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/03 05:00)
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