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前立腺がんについて、「発症は高齢になってからで、進行も遅い。あまり心配しなくてもいい」と考える人がいるが、中には悪性のものがある。進行すれば、肺がんや肝臓がんと同様、厳しい結果になる患者も一定数存在する。血液検査で高い精度の検診が可能だが、十分に認知されていないのが現状だ。横浜市立大学附属市民総合医療センターの上村博司泌尿器・腎移植科診療教授は、「決して油断はできないが、早期に発見すれば完治が期待できる。検診の励行などで、十分に対応できる病だ」と話している。
写真はイメージ=AFP時事
前立腺がんは50歳代から増え始め、70歳代がピークだ。がん細胞がほとんど増殖しないものもあるため、発見後も治療をせずに経過を観察する選択肢があるのも事実だ。しかし、上村教授は「増殖するがんの場合は、早期に手術または放射線治療が必要になる。放置して体内の他の臓器に転移してしまうと、完治に向けての治療は期待しづらい」と注意を呼び掛ける。
このため、がんの種類を早期に見極めることが重要だ。前立腺は加齢に従い肥大する傾向があるため、超音波で前立腺の大きさを調べるだけでは発見が難しい。そこで重視されているのが、前立腺特異抗原(PSA)というタンパク質の検査だ。前立腺がんを発症すると血液中のPSAが上昇する。
上村教授は「PSAは血液検査のマーカー(指標)として使用できる。自治体や企業の検診の項目に加えるだけでいい」とメリットを強調する。PSAに異常があれば磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像検査で絞り込み、必要なら疑わしい腫瘍部分の細胞を採取して確認する。
「50歳を過ぎれば前立腺肥大も前立腺がんの可能性も出てくる。この年代でまず自身のPSAの値を確認し、定期的に検査して異常がないか確認していくことが理想」と説明する。(了)
(2022/04/25 05:00)
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