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手や足のしびれで困っていても、かかりつけ医に「年のせい、気のせい」などと言われて我慢している人は少なくない。しびれ自体が命に関わることはほとんどないが、自分では原因が分からない不快なしびれはストレスになり、生活の質を低下させる。
のじ脳神経外科・しびれクリニック(神奈川県厚木市)の野地雅人院長は「原因や症状に応じた治療を行うことで、しびれの改善や軽減は可能です。我慢しないで専門医を受診してください」と呼び掛ける。
▽95%は原因が判明
神経は脳から出て背骨の中を通り、手足につながっている。背骨の中を通る神経である脊髄が圧迫されてしびれが表れる病気には、脊柱管狭窄(きょうさく)症、椎間板ヘルニアなどがある。腕や足を通る神経の圧迫によりしびれが生じるのは、胸郭出口症候群、肘部管(ちゅうぶかん)症候群、手根管(しゅこんかん)症候群、足根管(そっこんかん)症候群など。糖尿病、ビタミンの欠乏、薬の副作用によって末梢(まっしょう)神経が障害されしびれを引き起こす場合もある。
「症状の部位や範囲、左右差などから、原因はある程度推測できます。原因が分かるだけで安心する患者さんもいます」と野地院長。さらに、磁気共鳴画像装置(MRI)による画像検査などを行い診断する。同クリニックでは、しびれの約95%で原因が判明するという。
突然、半身にしびれが表れたり、まひを伴ったりする場合は、脳卒中など重篤な病気の可能性があるので、救急車を呼ぶなど速やかに医療機関を受診することが必要だ。
▽治療でしびれを軽減
軽いしびれは様子を見てもよいが、歩きにくい、ボタンを掛けにくいなど生活に支障が出ている場合は、しびれを改善する治療を受けた方がよい。脊柱管狭窄症や手根管症候群など神経の圧迫が原因の場合は、手術で圧迫を取ることによって改善が期待できる。ただ、神経の障害の程度によっては、術後にしびれが残ることもある。
手足の神経の障害の場合は加齢の影響もあり、治療が難しいことが多い。こうしたケースには、痛みを取る薬や、しびれに効く漢方薬などを用いる。「しびれを完全に取ることはできなくても、軽減することで生活の質は高まります」
野地院長は「しびれの正確な診断や治療は、神経の専門医でないとなかなか難しい。『しびれ外来』や『脊椎・脊髄・末梢神経の専門医』に相談してください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/07/09 05:00)
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