手根管症候群〔しゅこんかんしょうこうぐん〕 家庭の医学

 手くびから2~3cmさきにある手のひら部分で、正中(せいちゅう)神経が手の骨と靱帯(じんたい)でかこまれた手根管という管を通過します。この部分で神経が、靱帯により徐々に圧迫を受けてまひを生じる病気です。
 特徴的な症状は指先のしびれと夜間痛で、夜間から朝方にかけて手がじんじんしびれ、痛みを感じたり、目がさめたときにしびれを感じたりします。痛みは、ときに上腕や肩まで感じることがあります。朝起きると手のむくみや指のこわばりを自覚することが多く、ときに腱鞘(けんしょう)炎も合併します。
 しびれは指先が中心で、親指、人さし指、中指、薬指の親指側半分に生じます。

 女性に多く(90%以上)、閉経期や妊娠・出産時などホルモンのバランスが変化したときに症状が出やすい傾向にあります。両側の症状が出ることもあります。進行すると母指球(親指の付け根のふくらみ)の筋がやせて(筋萎縮〈いしゅく〉)、指先でのつまみ動作がむずかしくなります。

[診断]
 神経伝導速度検査で手根管での速度低下がみとめられれば診断されます。また、手くびを手のひら側に曲げた状態を数分間保つと、しびれが誘発されます(ファーレンテスト:手関節掌屈テストともいいます)。

[治療]
 筋萎縮のない軽症では、手くびを固定する装具などで安静をはかったり、副腎皮質ステロイド薬の局所注射などをおこないます。保存治療で改善がみられないときや、再発性の場合、あるいは筋萎縮のある場合には手術をおこないます。

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