治療・予防

飼育前にリスク理解を―ペットアレルギー
~鼻炎やアトピーの人は起きやすい(昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科 鈴木慎太郎講師)~

 犬や猫、鳥などの動物が原因で起きるペットアレルギー。飼い主が皆発症するわけではないが、リスクを抱える人は多く、別のアレルギーを引き起こすこともある。昭和大学病院(東京都品川区)呼吸器・アレルギー内科の鈴木慎太郎講師は「原因となる物質『アレルゲン』を特定し、対策を講じることが必要です」と話す。

ペットアレルギーの主な症状

 食物アレルギー誘発も

 ペットアレルギーの原因となる主な動物は、犬や猫、鳥、ウサギ、ハムスター、フェレットなど、毛の生えた動物だ。毛や羽、ふけ、唾液、尿、ふんなどに含まれるアレルゲンが人の体内に入り、免疫細胞が有害物質と判断することで発症する。主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、ぜんそくのようなせき、目のかゆみや充血、じんましんなど。呼吸困難を伴う強いアレルギー症状であるアナフィラキシーを引き起こす例もある。

 「特に大人の場合は、室内で多くのペットを飼っているなど、アレルゲンと接触する頻度が多いほど発症しやすいです。もともと鼻炎やアトピー性皮膚炎ぜんそくなどの持病がある人でも起きやすくなります」と鈴木講師。

 一方、学童期以前のペットの飼育が将来のアレルギー抑制につながるとの見解もあり、詳細はよく分かっていない。

 ペットアレルギーは、別のアレルギーの引き金になることもある。鈴木講師は「犬や猫のアレルギーがある人が豚肉や牛肉、馬肉のアレルギー、鳥類のアレルギーを持つ人が鶏肉や卵のアレルギーを起こすケースがあります」と説明。アレルゲンが体内に侵入すると作られるIgE抗体が、共通の構造を持つ別のアレルゲンにも反応する「交差反応」によるものだという。

 ▽鼻炎やアトピーは治療

 診断は血液や皮膚の検査で行う。ペットアレルギーの治療は、根本治療ではなく、症状を和らげる対症療法が主体。アレルゲンとの接触を減らすことも重要になる。

 再発予防と重症化リスクの軽減のために、「鼻炎やアトピー性皮膚炎ぜんそくなどがあるとアレルゲンが体内に侵入しやすくなるので、しっかりと治療すること。肉類は中まで火を通すと、アレルギーを起こしにくくなります」とアドバイスする。

 会社や学校を休まざるを得ないほど重症の場合は、ペットに他の飼い主を探すことも検討する。アナフィラキシーを起こしたことがある人は、自身で注射する薬エピペンの携帯も必要になる。

 「ペットの飼育は健康リスクを伴うことを十分に理解し、家族でよく相談してから決めてください」と鈴木講師は強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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