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良性のリンパ節炎である菊池病は、1972年に日本で最初に報告された病気だ。日本、台湾、韓国などの東アジアで患者が多く報告されている。
ハレノテラスすこやか内科クリニック(さいたま市)の渡辺健院長は「菊池病は良性疾患ですが、まれに重症化もあります。病気や治療に関して不安なことがあったら、主治医とよく相談してください」と話す。
菊池病の主な特徴
▽原因は分かっていない
菊池病のリンパ節炎の約80%が首のリンパ節に起こる。腫れや押すと痛いなどの症状があり、38度以上の熱を伴うことが多い。
渡辺院長は「一般的な抗生物質は効果がなく、時として発熱が1カ月以上続くこともあります」と話す。全身のリンパ節の腫れや、発疹などの皮膚症状、関節痛、喉の痛み、肝臓や脾臓(ひぞう)の肥大などの症状が出る場合もある。
小児から高齢者まで幅広く発症し、特に20~30代の女性に多い。通常は1~4カ月で治療をしなくても軽快するが、数カ月から数年後に再発するケースも少なくない。
「原因は不明です。ウイルス感染や、白血球の型であるHLAが関与しているとも言われています。全身性エリテマトーデスなどの膠原(こうげん)病との関連も示唆されています」
▽診断はリンパ生検のみ
リンパ節が腫れる病気は、結核などの感染症や自己免疫疾患、がんなどの腫瘍による腫れ、抗けいれん薬などの薬剤による腫れなど、さまざまある。菊池病の診断では、診察や血液検査でこれらの病気でないことを確認していく。
血液検査では、白血球の減少や、ブドウ糖をエネルギーに変化させるときに使われるLDHという酵素の上昇、病原体などに反応する異型リンパ球などが見られる。悪性リンパ腫との区別が難しい場合は、リンパ節を採取して顕微鏡で調べるリンパ生検で確定診断を行うこともある。
「有効な根本治療はないため、症状が強い場合は、ステロイドの飲み薬や点滴などの対症療法を行います」と渡辺院長。全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群などの膠原病を併せて発症したり、重症化して、マクロファージという免疫細胞が赤血球や白血球、血小板を食べてしまう血球貪食症候群を引き起こしたりすることもある。
「菊池病は診断が難しい病気です。リンパ節の腫れや発熱が続く場合は、必ず専門医を受診してください」と渡辺院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/08/28 05:00)
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