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認知機能には記憶や計算など、脳のさまざまな機能が含まれる。他人の気持ちや行動を理解し、それに反応するなど、人との関わりの基本となる機能は社会的認知機能と呼ばれる。玉川大学脳科学研究所(東京都町田市)の松田哲也教授らは、コミュニケーションなどと関連する社会的認知機能のレベルが肥満、血圧や体力のレベルと関係することを明らかにした。
BMI、収縮期血圧などが高いほど社会的認知機能は低く、持久力、手先の器用さなどが高いほど社会認知機能が高い
◇約1000人のデータ分析
肥満や高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすくする要因で、心血管リスク因子とされる。松田教授によると、これまでの研究で、心血管リスク因子や体力低下と認知機能の低下との関連が分かっているが、社会的認知機能に焦点を当てた研究は行われていなかったという。
そこで松田教授らは、肥満、血圧、体力それぞれのレベルと社会的認知機能のレベルとの関係を調べた。神経ネットワークに関する米国の研究で集められた1027人のデータを分析。脳活動を調べる機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の測定データを用いた。肥満レベルは体格指数(BMI)、血圧は上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)、体力は持久力、歩行速度、手指の器用さ、握力の4指標で評価した。
◇BMI、持久力などが関連
分析の結果、まず「BMI、収縮期血圧、拡張期血圧がそれぞれ高いほど、あるいは体力が低いほど、社会的認知機能に関連する脳の四つの領域の活動が低いことが分かりました。特にBMI、持久力、手先の器用さとの強い関連性が示されました」
研究成果を踏まえ、松田教授は「肥満、高血圧、体力低下を改善させるような健康的な生活様式は、コミュニケーションなどと関連する社会的認知機能の維持、向上に有効である可能性があります。実際にそれらを改善すれば社会的認知機能が持続したり、高まったりするのか、そのためには運動や食事など、どのような生活スタイルが望ましいのかを明らかにする研究が必要です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/04 05:00)
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