治療・予防

がん、認知症の原因に
肥満症を甘く見ないで

 日本では、体重(キロ)を身長(メートル)で2回割って算出する「体格指数(BMI)」が25以上の状態を肥満と呼ぶ。肥満が原因の病気があったり、その恐れがあったりする場合を「肥満症」といい、総合健診推進センター(東京都千代田区)の宮崎滋所長は「医学的に見て減量が必要な状態です」と語る。

 ◇男性は20代でも

 肥満が原因で起き、脂肪を減らすことで予防できる病気は11種類あることが分かっているが、肝臓がんや乳がん、子宮がんなどのがんも肥満が影響するといわれている。

 内臓脂肪がたまっていると、認知症になりやすいとの報告もある。肥満に伴って糖尿病や高血圧を合併すると、動脈硬化から脳血管障害を起こし、脳血管性認知症のリスクが高まるためだ。「肥満とアルツハイマー型認知症との関連も指摘されています」と宮崎所長。

 男性は20代でも肥満の人が増えているが、女性は一般的に40代以降に多くなる。「女性は、女性ホルモンの影響もあって年齢とともに徐々に内臓脂肪が増えていきますが、閉経後は特に増えやすい体質に変わるので注意が必要です」と説明する。

 ◇肥満症は「病気」

 体全体は痩せているのに腹部だけが出ていて、健康診断で「内臓脂肪が多い」と指摘される人がいる。この段階ではまだ肥満症とは言えないが、かなりの運動不足に陥っているため、食事量の制限よりも、食事内容を見直し、運動習慣を付ける必要がある。

 日本では現在、BMI25以上35未満の肥満症を治療する目的で保険適用となっている薬はないため、食事療法と運動療法による減量が必要となる。一方、米国では5種類の肥満症の治療薬がある。

 「日本でも、病気としての肥満症の治療のために食事療法と運動療法が継続できるよう、食欲を抑えたり、腸からの脂肪吸収を抑えたりする薬物療法の選択肢も必要だと思います」と、宮崎所長は薬による支援の道が開けることに期待をかける。

 「食事量を少し減らせば元の体重に戻ると思っているうちに、いつの間にか肥満は進んでしまいます。肥満は単に見た目の問題だけでなく、健康を害してしまうことを意識してほしい」と注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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