治療・予防 2024/11/22 05:00
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子宮頸(けい)がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)感染の予防に有効なHPVワクチン。日本では「女性が接種するワクチン」というイメージが強いが、海外では男性の接種率が7割を超える国もある。フローレンスこどもと心クリニック(東京都渋谷区)の田中純子院長は「肛門がんの一部や尖圭(せんけい)コンジローマといった病気を予防する効果があります」と話す。
男性にもHPVワクチン
◇高額費用がネックに
HPVは多くの大人が生涯で一度は感染するウイルスだ。HPVには複数の種類(型)があり、その一部ががんや性感染症を引き起こす。子宮頸がんは性行為により感染した特定の種類のHPVによって引き起こされる。日本では小学6年から高校1年の女子を対象に、公費によるHPVワクチンの定期接種が行われている。
子宮頸がん以外にも、肛門がんや中咽頭がん、性感染症の尖圭コンジローマの他、陰茎がんなどとHPVとの関連が確認されている。このうち中咽頭がんは男性に多く、男女ともに日本を含め世界で増加している。「これらの病気の予防を目的とする男性の接種率は、オーストラリア、カナダなどでは7割を超えています」
HPVワクチンは有効なウイルスの型数によって2価、4価、9価の3種類があり、4価については国内でも男性の接種が認められている。しかし、「男性が接種するという認識が低く、3回接種で約6万円という高額費用の自己負担がネックになって、男性の接種は進んでいません」。
◇男性も正しく理解を
すでに感染しているHPVはワクチンを接種しても排除できない。そのため最も効果が高いのは性交渉前に接種することだが、「10代に限らず、成人以降の接種でも新たな感染を防ぐ効果は期待できます。男性の接種が増えれば、ご自身の健康を守るだけでなく、女性のリスクを低減できるとぜひ知ってほしい」。男性への接種については小児科、内科、泌尿器科、婦人科などに問い合わせるとよいという。
男性の接種促進には、保護者だけでなく接種する本人が接種の必要性を正しく理解することも大切だ。「HPVに関する情報を広く発信する『みんパピ!』のサイトや日本産科婦人科学会のホームページなど、メリットと副反応などのデメリットに関する確かな情報源を選びましょう。自分とパートナーを守るワクチンをきっかけに、家族や友人らと性や男女の体のことなども気軽に話をしてみてください」と田中院長は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/03/23 05:00)
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