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20~40歳代の男性に多く発症するバージャー病は、重症化すると手足の切断が必要になる例もある国の指定難病だ。「適切な治療を受けるために、疑わしい症状があれば循環器内科を受診してください」と京都府立医科大学付属病院循環器内科の矢西賢次助教は呼び掛けている。
骨髄単核球細胞を用いた血管再生治療の経過
◇患者の多くに喫煙歴
バージャー病は原因不明の病気。四肢の末梢(まっしょう)の動脈が炎症によって閉塞(へいそく)し、手足に血流不足(虚血)によるさまざまな症状が表れる。軽度では冷え、しびれ、皮膚の色調変化など。進行すると少しの歩行で足に痛みやしびれが生じて歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる「間欠性跛行(はこう)」や安静時痛が見られる。重症化すると潰瘍ができ、組織の一部が死んでしまう壊疽(えそ)が起きるケースもある。
多くの患者に喫煙歴(受動喫煙を含む)がある。病気自体が直接命に関わることはまれだが、重症化すると足や指の切断に至ることもある。働き盛りの患者の生活の質を大きく損ねかねない病気だ。
現在日本での推計患者数は約7000人だが、初期の軽い症状は見逃されやすい上、診断が難しく、「隠れバージャー病」の存在も指摘されている。足に痛みなどがあると整形外科を受診する人も多いが、「骨や筋肉に異常がなければ、虚血を起こす病気を疑って循環器内科を受診してください」。
◇臨床研究を実施
バージャー病の発症や悪化には喫煙が密接に関わるため、治療では禁煙が必須。併せて血流の改善を目的とした薬物治療を行う。日常生活では壊疽を防ぐため手足の保温、清潔に努めるとともに、靴擦れなどで傷をつくらないようにする。適度な運動も推奨されている。
重症の虚血症状に対しては血行再建術(カテーテル治療やバイパス治療)が行われるが、「血行再建術自体が難しく、長期的に治療部位の血流を維持できない場合も多いのが実情です」。
同院は自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生医療の臨床研究を実施。一定の有効性と安全性を示したという。患者自身の骨髄液から、血管に成長できる細胞を含んだ骨髄単核球細胞を分離・濃縮して虚血症状のある骨格筋内に移植するもので、「新たに微小な血管ができて患部の血流が長期にわたって改善する点が確認できました」。有効性や安全性は検証段階にあるが、今後、重症例の有効な治療選択肢になる可能性が期待されている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/04/23 05:00)
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