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小腸の袋状の突起物にできる「メッケル憩室がん」。珍しい病気で、昨年亡くなったシンガー・ソングライターのKANさんが患ったことを機に知られるようになった。症状や治療について、日本外科学会専門医で、大手企業の産業医を務める甲斐沼孟医師に聞いた。
メッケル憩室がん
◇数少ないがん
メッケル憩室という名称は、発見したドイツの解剖学者メッケルに由来する。通常は生まれつきのもので、人口の約1~2%に存在するとされる。イメージとしては「焼き餅の膨れた部分」と甲斐沼医師。
がんを発症するのは、メッケル憩室がある人の1%前後。がんになる理由は明らかになっていない。
「がんになった場合も、症状が乏しいことが多い」。症状があるとすれば腹痛が主で、その程度はさまざま。ただし進行して、がんが腸内をふさぐようになると、激しい痛み、おなかの張り、吐き気・嘔吐(おうと)などが表れる。
◇手術で切除
メッケル憩室がんを含め小腸の病気が疑われれば、内視鏡検査が行われ、隆起の有無や形状、周囲の組織を診る。
治療は、がんの進行度や患者の年齢・状態によるが、通常は切除する手術が行われる。術後は、抗がん剤を数種類組み合わせた治療を行い、残ったがん細胞を死滅させて再発を防ぐ。
術後の経過は、胃がんや大腸がんと同様、早期に発見して治療をすれば悪くない。しかし、発見が遅れて腫瘍が大きい場合や、他の臓器に遠隔転移した場合は芳しくない。手術や抗がん剤治療に耐えられるかどうか、患者の基礎体力も影響する。
甲斐沼医師は「メッケル憩室がんは、早期に治療をすれば長期生存が可能です。ただ、初期段階では症状が表れにくく、気付かれにくいという課題もあります。腹痛、便が黒い、貧血などの症状があれば、早めに消化器専門の医療機関を受診しましょう」と助言する。
健康診断で貧血や便潜血があると指摘されたときも、医師の指示に従って二次検査などを受けるようにしたい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/05/21 05:00)
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