治療・予防

長引く症状、検査でも原因不明=身体表現性障害の可能性も

 身体表現性障害は、身体的な異常は無いのにさまざまな体の不調に悩まされる精神疾患の一つだ。男性よりも女性に多く、若年層から中高年層まで幅広い年齢で見られるという。慶応大学病院(東京都新宿区)精神・神経科の三村将教授に話を聞いた。

 ◇ストレスが背景に

 頭痛や腰痛、腹痛、関節痛などさまざまな痛みのほか、しびれやめまい、目の疲れ、吐き気、疲労感など、不定愁訴と言われるような症状が幾つも表れ、長引く。内科や耳鼻科、整形外科などでいくら調べても原因が見つからず、医療機関を転々とする。

 「気のせいだから大丈夫」と言われると、症状が悪化することもあり、不信感を募らせる。症状のせいで日常生活が困難になる。このような場合、精神科で身体表現性障害と診断されることがある。

 三村教授は「これまでの治療に納得がいかないなら、身体表現性障害の可能性を考えて病気を見直すと、改善につながるかもしれません」とアドバイスする。

 身体表現性障害は、症状の出方が仮面うつ病と似ているが、「仮面うつ病の発症には遺伝的要因やうつ病になりやすい性格が関与しているのに対し、身体表現性障害にはストレスが関与している点で区別できます」と三村教授。

 ストレスといっても、本人がそれと自覚していないケースも多く、「ストレスに対する何らかの体の拒否反応が、症状の中核になっているようだ」とも分析する。

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