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DASH食は米国で考案された高血圧を予防する食事療法。東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)の原田和昌副院長は「DASH食は基本を押さえれば、減塩だけを意識する食事よりも降圧効果が期待できます」と語る。
カリウム、カルシウム、マグネシウムを意識
◇三つの栄養素に注目
DASH食は英語の「高血圧を阻止する食事」の頭文字を取ったもの。厚生労働省の調査では、日本人の塩分摂取量は1日平均約10グラムで、日本高血圧学会が推奨する6グラム未満をはるかに超える。今や3人に1人が高血圧患者だ。そこで取り入れたいのがDASH食だ。原田副院長は「減塩に加え、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、動物性や植物性の多様なタンパク質を意識して摂取することで、相乗効果により大きな降圧効果が期待できます」と説明する。
原田副院長が勧めているのは、減塩をあまり意識せず継続しやすいDASH食だ。「基本となるカリウム、カルシウム、マグネシウムの三つを含む食品をしっかりと摂取するのがポイントです」。カリウムやカルシウムは、体内の塩分を排出する作用が高く、マグネシウムは動脈を拡張させて血圧を下げる作用がある。こうした栄養素をバランス良く取り入れた人は、そうでない人と比べ、最高血圧が6mmHgほど低かったという報告もあるという。
◇1日1食から始める
具体的には、カリウムはバナナや野菜ジュース、カルシウムは牛乳や乳製品、マグネシウムは海藻や無塩のナッツ類、きな粉や納豆などから摂取するといった具合だ。
「例えばバナナ1本、野菜ジュースをコップ1杯、牛乳をコップ3杯程度といった具合に、毎日摂取する食品を決めます。マグネシウムは多くの食材に含まれているので紙に書き出して冷蔵庫などに貼り、それを見ながら食事を作るといいでしょう。DASH食を取り入れるのは1日1食でも構いません。バラエティーに富んだ食品をバランスよく摂取するのがこつです」
ただ、注意点もある。本来DASH食は高血圧予備軍を対象に考案されたので、持病や服薬がないことが前提になる。特に腎臓疾患や糖尿病がある人、血圧を下げるホルモンを阻害するRA系阻害薬の降圧剤、サイアザイド系の利尿薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗(きっこう)薬などの心不全の薬を服用している人は、主治医との相談が必要だ。サプリメントの利用も栄養素の過剰摂取につながる恐れがあり避けたい。
原田副院長は「DASH食は、高血圧以外にも、冠動脈疾患や脳卒中のリスクを大幅に減らす効果があります。将来の高血圧予防のために、ぜひ今から実践してみてください」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/09/30 05:00)
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