治療・予防 2025/01/09 05:00
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野山に山菜狩りに出掛けた際に誤って有毒な野草を採取して食べ、食中毒を起こすケースが後を絶たない。死に至る場合もあることから、厚生労働省では、確実に判断できない限り「採らない、食べない、売らない、人にあげない」と注意喚起している。埼玉医科大学病院(埼玉県毛呂山町)臨床中毒センターの上條吉人センター長も「素人判断は禁物です」と話している。
トリカブト(左)とよく似た植物
◇混生にも要注意
毒性と聞くと、毒キノコを思い浮かべがちだが、植物にも有毒な物が多く存在する。致死性のある有毒植物の代表は、トリカブトとイヌサフラン。花が咲いていない春ごろの状態だと、前者はニリンソウやモミジガサに、後者はギョウジャニンニクに葉の形がよく似ており、誤食されやすい。命に関わる危険性は小さいが、スイセンとニラも似ている。
「毒性植物と食用植物が混生している場所もあるので要注意です。人にあげてしまったり、道の駅などで販売してしまったりする事例もあります」と上條センター長。
中毒症状としては、トリカブトの場合、唇や舌がしびれ始め、嘔吐(おうと)、下痢、さまざまなタイプの不整脈、呼吸筋を含む筋力低下などを起こし、心停止や呼吸困難に至り死亡する場合がある。誤食後、数分から2時間ほどで中毒症状が表れるという。「異変を感じたら、迷わず救急車を呼んでください。自力で病院へ行けると思っても、症状は急激に進行します」
◇10年間で17人死亡
食中毒の判断は通常の血液検査では分からないため、問診を行い、心電図検査で不整脈があれば抗不整脈薬を投与する。解毒剤はほとんどない。「血液ポンプと人工肺を用いて全身の血液循環と呼吸を代替するECMO(エクモ)治療が行われ、救命されるケースもあります」
厚労省によると、2014~23年の10年間に毒性植物による食中毒は合計220件・831人の患者が発生し、17人が命を落としている。
「山菜狩りは熟練のガイドに同行するなどしましょう。素人判断で採って食べたりしないように」。また、こうした毒性植物は自殺に用いられるケースもあり、精神科医でもある上條センター長は「当センターでは精神科医と臨床心理士が自殺未遂者の精神的ケアに対応しています」と語っている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/10 05:00)
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