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踏み切れないダイエット
~無理をせず、楽しく~

 ダイエットに取り組もうという女性は多いが、先延ばしにしたり、始めても挫折したりするケースが少なくない。実行したとしても、無理なやり方は長続きせず、健康面からも好ましくない。東京・銀座の時事通信ホールで開かれたイベントでは、健康食に詳しい医師の齋藤真理子さんと体重に人一倍気を使うボディービルダーでタレントのなかやまきんに君が、楽しくできるダイエットのこつを紹介した。

齋藤真理子さんとなかやまきんに君

齋藤真理子さんとなかやまきんに君

 ◇女性に多い「隠れ肥満

 山本メディカルセンター(神奈川県逗子市)院長の齋藤さんは患者の健康管理をサポートするとともに、同市のレストランのメニューを考案する。齋藤さんは、肥満に関してこう解説する。

 外見上は太っていなくても、体脂肪が多い状態のことを「隠れ肥満」と呼ぶ。この隠れ肥満は男性より女性の方が多い。日本肥満学会などによると、そもそも日本人は欧米人に比べて内臓脂肪がつきやすいとされる。

 ◇先延ばしするわけは

 ダイエットや体脂肪対策をやると意気込んでも、「あすからでいい」と後回しにしてしまう女性も少なくないだろう。「MCTプラス・コンソーシアム」が1000人を対象に行った意識調査(2024年)によると、「ダイエットや体脂肪対策を意気込んだにもかかわらず、後回しにしてしまった経験があるか」という問いに対し、69%が「ある」と回答した。

 後回しにする理由は何だろうか。

 上位の三つの回答を見ると、「面倒くさかったから」(42%)、「意志が弱かったから」(39%)、「忙しく、時間がなかったから」(38%)などとなっている。

 「あすから頑張る。だから、きょうはやらなくてもいい」という行動パターンは、大人と子どもに共通する面がある。それはダイエットに限ったことではない。

 肥満のリスク

 標準体重の人に比べて太めの体形だからといって、それは病気ではない。ただ、皮下脂肪と内臓脂肪と脂肪細胞のバランスが保たれている間はよいが、体脂肪が過剰に蓄えられると、脂肪細胞が大きくなる。慢性の疲労をはじめ、糖尿病や慢性の腎臓病、重い病気である肝硬変などのリスクが高まると指摘されている。

脂肪を燃焼させるための運動を実演するきんに君

脂肪を燃焼させるための運動を実演するきんに君

 ◇きんに君が勧める運動

 ダイエットはハードルが高いと感じている人も多いだろう。きんに君は「無理なダイエットをすると、短期的な効果はあるかもしれないが、健康面でリスクがある」として、無理がない形のダイエットを勧める。

 齋藤さんは「一つ目は朝食。その後、通学・通勤や買い物などで歩いたり、自転車に乗ったりすることが脂肪を燃焼させるチャンスにつながる」と話す。

 新型コロナウイルス感染症がもたらした日常生活の変化は、在宅勤務や不要不急の外出をできるだけ避けようとする行動だ。運動不足でエネルギーを燃焼しにくくなる。そこで、きんに君は室内で簡単にできる運動を紹介した。

 一つは腕回し。腕を横に上げた後で、後ろに振り上げていく。この時に小指を上に向けて腕を回すのがポイントだ。動作の速さで負荷を調整できる。

 もう一つは、椅子に座る時間が長い人に有効だ。お尻を後ろにする前傾姿勢を取り、腕を上げて少し止めてから落とす。「背中の筋肉を使うことでエネルギーを消費する」ときんに君は言う。

齋藤さんが考案したレシピを試食するきんに君

齋藤さんが考案したレシピを試食するきんに君

 ◇調理法に気を使おう

 齋藤さんが勧める料理の一例を挙げてみる。▽スパイスカレー▽ガーリック・ポークソテー▽ショウガと夏野菜の「ねばねば丼」―などとなっている。どれも、ヤシ科植物の種実や母乳などに含まれているMCTオイルを使うことがポイントだと言う。MCTオイルは一般的な油に比べて速く分解され、脂肪としてたまりにくい。

 「満腹中枢を満足させることで、食べ過ぎの防止につながるだけでなく、血糖値の上昇を抑えることができる。MCTオイルを食材に少しかけるとよいだろう」

 きんに君は昼食にも気を使う。「僕も仕事の時は外食が多い。例えば、魚料理の場合、アジフライ、塩焼き、刺し身でカロリーが違う。カロリーを抑えたいなら、そこに目配りをしてほしい」

 きんに君は数年前、ボディービルの大会に向けて体を絞っていたが、エネルギー不足を感じて食事にMCTオイルを取り入れてみた。それが成功したと振り返る。

 きんに君は「素早くエネルギーになる。体脂肪として蓄積されにくい。無味無臭だからサラダにもかけられる」と言い、外食の際には携帯していく。

 一念発起してダイエットを始めたとしても、無理をして体調を崩したり、リバウンドしたりすれば、元も子もない。きんに君は「ハードルを上げずに、継続できることをやってほしい」と強調する。(鈴木豊)

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