2024/11/06 05:00
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私以外にも大多数の医師が同じ経験をしていると思います。それでもいまだに、「風邪をひいたときは点滴をしてもらうと楽になる。早く風邪が治る」と誤解している人は多くいます。点滴をしても風邪は治りません。今回は、その理由を簡単に説明しましょう。
◇点滴の中身は何なのか?
点滴する液のことを、正確には「輸液製剤」と呼びます。輸液製剤にはたくさんの種類がありますが、仮に風邪で点滴をしてほしいという方に投与するなら、選ぶのは「細胞外液補充液」と呼ばれるタイプです。
血液と浸透圧がほぼ等しい製剤で、血管内に注入することで効果的に水分を補うのが目的です。中でもよく用いる「乳酸リンゲル液」を一例として挙げてみます。この輸液製剤の中身は、水に以下の電解質が溶けたものです。
ナトリウムイオン
カリウムイオン
カルシウムイオン
塩化物イオン
乳酸イオン
よってこれを、「電解質輸液」と総称することもあります。要するに、「水に電解質イオンが溶けているだけの液体」です。風邪を治す成分はもちろん含まれていません。
ちなみに、ポカリスエットの成分も見てみましょう。
ナトリウムイオン
カリウムイオン
カルシウムイオン
塩化物イオン
乳酸イオン
酢酸イオン
マグネシウムイオン
ここに味を調整する甘味料などが含まれているだけです。内容はほとんど同じですね(含まれている電解質の種類はポカリスエットの方が多いです)。つまり、ポカリスエットで風邪が治らないのと同じように、点滴で風邪は治りません。入っているものに大差がないからです。
(2018/05/30 11:21)
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