一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督

(第3回)理不尽さを背負いつつ
生まれながらのキャプテン

主将としてダイエーホークスを引っ張る
 小学1年生で野球を始めた小久保裕紀さんが初めてキャプテンに指名されたのは、小学4年生の時だった。高校ではピッチャーだったため副キャプテンだったが、それ以外の野球人生では常にキャプテンを任された。野球の成績はもちろん、礼儀正しさや物の考え方、面倒見の良さなど、小久保さんに会った人は「彼こそまさにキャプテン」という印象を必ず持ったに違いない。

 「キャプテンに向いていると思いますか」と小久保さんに尋ねた。「昔よく感じていたのは、『よーし、行くぞ』と誰かが声を出したら皆ついていくのに、誰もそれをしない。それがすごく嫌だったのです。『それなら自分がするぞ』という性格だったのでしょうね」

 しかし、運動部でのキャプテンという立場は、怒られ役でもある。

 「今の時代、鉄拳制裁などほとんどの監督さんはやらないでしょう。でも当時は厳しくて、連帯責任はキャプテンの責任だと、訳の分からないことでよく殴られました。一番殴られたのは中学時代ですね」。

 小学校の時も「キャプテンが悪い」と言われ、よく怒られたという。例えば、返事がきちんとそろっていなかったりすると、それは全部キャプテンの責任になった。小久保さんは「いつも理不尽だなあ」と思い、その理不尽さをどうにかしようと考えた。「小学生の頃から、『皆の声が出ていないときに声を出させるにはどうしたらよいのか』と思いながら、周りを見るようになりました。自分で鍛えようと思ったわけではなく、ただ自分が怒られたくないから、目配り、気配りをするようになるわけです」。笑いながら、振り返る。

 そんな経験もあってか、少年野球などの選手たちに会う時は、必ずエースとキャプテンをひいきにすると言う。「キャプテンが、いつも理不尽なことでつらい思いをしているのは分かっていますから、エールを送るのです。『この経験が人生で必ず役に立つから、今は耐えなさい』と」

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