発熱時の手当て 家庭の医学

 発熱以外の症状がなく、元気できげんもよく、いつもどおりの食事ができている場合は、ようすを見ながら次のような手当てをします。
 悪寒(おかん)やふるえがあるときは、全身の保温に注意し、あたたかい飲み物を与えるようにします。
 高熱のときは、全身の保温に注意し、氷枕、氷嚢や保冷材で後頭部やわきの下(腋窩〈えきか〉)、股のところ(鼠径部〈そけいぶ〉)を冷やし、汗でぬれた下着はこまめに取り替えるようにしてください。
 冷やす(クーリング)ときは、氷枕や氷嚢、保冷剤を直接からだに当てると冷たすぎるし、時に苦痛を感じるので、タオルなどを巻いて当ててください。当てる場所は、頭のほか、腋窩や鼠径部など太い血管が通る場所に当てると効果的です。高熱の場合は2点クーリングや3点クーリングをおこない、37~38℃のときは1点クーリングでよいでしょう。

■ただちに病院を受診すべき発熱
 発熱以外にさまざまな症状を伴っているときは要注意です。意識障害や頭痛、けいれんを伴うときは、脳炎髄膜(ずいまく)炎脳出血を疑います。
 嘔吐(おうと)や腹痛を伴うときは、胆嚢炎・胆管炎、大腸憩室(けいしつ)症肝膿瘍を疑い、発熱に排尿時痛やわき腹の叩打痛(こうだつう:軽くたたくと強い痛みが誘発されること。腎盂(じんう)腎炎の典型的症状)を伴うようであれば、尿路感染症、特に腎盂腎炎が考えられます。
 このように発熱以外に強い症状があり、元気がなくなってきたり、意識が悪化したり、食欲がなくなったりするときには、すみやかに病院を受診しましょう。
 また、熱があるからといって、安易に解熱薬に頼らないことが重要です。特に小児と高齢者は、うったえや症状がはっきりしなくても重大な疾患が存在する可能性があり、保護者や家族が「いつもと違う」「なにか変だ」と感じたときは、早めに病院を受診してください。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)