急性腎盂腎炎〔きゅうせいじんうじんえん〕 家庭の医学

 細菌感染が腎盂に起こる病気です。腎盂から腎臓の中(実質)まで波及すると重症となります。糖尿病などの合併で重症化しやすくなります。膀胱炎が先に起こってから、腎盂腎炎になることもあります。
 症状は、悪寒やふるえを伴うような発熱で、左右いずれかの側腹部痛をうったえることが多いです。発熱は39~40℃に達することがあります。
 原因としては、腎結石尿管結石などの結石、尿管狭窄(きょうさく)などによる水腎症などがあります。結石に伴う腎盂腎炎で結石のために感染した尿が排出されないと、敗血症DIC(播種〈はしゅ〉性血管内凝固症候群)から死にいたることもあります。
 これらの原因が不明の場合で腎盂腎炎をくり返す場合は、膀胱(ぼうこう)尿管逆流が疑われます。膀胱に入った尿は通常は腎臓のほうには戻りませんが、逆流してしまうことがあるのです。膀胱の造影検査で確認し、必要に応じて逆流防止手術をおこないます。
 治療としては、抗菌薬を通常は点滴静注でおこないます。解熱後もしばらくは内服治療を続けます。重症の場合は、集中治療室での治療が必要となります。原因となる病気が見つかれば、状態がおちついてからその治療をおこないます。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)
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