入院の時期 家庭の医学

 次のような症状があったらお産の開始です。入院の準備をして病院に行きましょう。

■おしるし(産徴:血性のおりもの)が出る
 お産が近づくと子宮口が開き始めます。このとき赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮下部の壁との間にズレができて少量の出血が粘液と混じって排出されます。ただし、はじめてのお産の場合はおしるしがあっても陣痛が始まるまで2~3日かかることもありますので、一応入院の準備だけして、陣痛が始まるまで家で待機していてもよいでしょう。しかし、出血の量がとても多かったり、前回のお産が非常に早く進んだ人は病院に連絡して、診てもらったほうがよいでしょう。
 なお、健診時の内診のあと出血があることがありますが、おしるしとまちがえないようにしましょう。

■規則的な子宮収縮(陣痛)が始まる
 陣痛は、はじめは不規則で弱いものですが、しだいに間隔が短くなり、強く痛みの持続時間は長くなります。初産婦なら10分間隔となったら病院に行きますが、経産婦で前回のお産が早かった人は、10分をきらなくても病院に行ったほうがよいでしょう。また病院に着くまでの所要時間を考えて、余裕をもって行くことが大切です。

■破水
 胎児の入っている卵膜が破れて羊水(ようすい)が流出することを破水(はすい)といいます。外部の細菌が子宮の中に入る状況となり、時間がたつと感染の可能性が高まるので、破水したら陣痛がなくてもすぐ病院に行きましょう。
 たいていは大量の水様帯下(すいようたいげ)の流出で破水とわかりますが、高位破水(上方の卵膜に起こった破水)などは少量でわかりにくい場合もあるので、破水が疑わしいときは必ず病院に行って診察を受けましょう。特に、妊娠中の検査で赤ちゃんが苦手なGBSと呼ばれる細菌が産道内に陽性といわれている方は、できる限り早く入院して抗菌剤の点滴を受ける必要があります。多くの場合は、破水してから24時間以内に陣痛が始まります。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 名誉院長 安達 知子
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