AST・ALT

■急性肝炎や慢性肝炎の診断
 AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)どちらも肝細胞に多く含まれる酵素で、肝細胞が傷害されるときに血中に出てくるため、肝炎では増加します。ALTはおもに肝細胞に含まれていますが、ASTは筋肉細胞や赤血球にも含まれるため、心筋梗塞や筋肉の疾患、溶血性貧血でも上昇する点が異なります。なお、かつてはGOT、GPTという名称が使われていましたが、国際的な名称の変更に伴い、国際標準に合わせてGOTはASTと、GPTはALTと呼ぶようになっています。
 急性肝炎では両者とも数百から千単位以上にまで増加することがあり、慢性肝炎ではALTのほうが高値で、アルコール性肝炎や肝硬変、肝がんではASTの数値が高いのが特徴です。

■基準値
◇AST:13~30U/L
◇ALT:男性 10~42U/L、女性 7~23U/L

■検査結果から疑われる病気
◇AST
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 急性肝炎慢性肝炎肝硬変肝がん、アルコール性肝炎(アルコール性肝障害参照)など肝臓障害全般、脂肪肝心筋梗塞筋疾患、溶血性黄疸、筋疾患など
◇ALT
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 急性肝炎慢性肝炎肝硬変肝がん、アルコール性肝炎(アルコール性肝障害参照)など肝臓障害全般、脂肪肝、溶血性黄疸など

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)