総たんぱく・アルブミン・たんぱく分画

■栄養状態や肝障害の程度を知る
 血液中のたんぱく質は数多くの成分から構成されていますが、その2大成分はアルブミンとグロブリンです。血清たんぱくはその総和として測定されるので、アルブミンを測定したり、血清たんぱくを分画して(アルブミン、α1、α2、β、γグロブリン)こまかく検討する必要があります。
 アルブミンは肝臓でつくられますが、肝炎や肝硬変で減少するほか、低栄養でも減少します。また、ネフローゼ症候群では尿中に漏れてしまうため極端に低い値となります。
 いっぽう、αグロブリン、βグロブリンは肝臓でつくられますが、γグロブリンはリンパ球や形質細胞がつくります。肝硬変や慢性炎症性疾患ではγグロブリンが上昇するのが特徴です。多発性骨髄腫では特別なγグロブリン分画のみが増加します。アルブミンとグロブリンの比(A/G比)も血清たんぱく分画をみる簡易法として利用されます。

■基準値
◇総たんぱく(TP):6.6~8.1g/dL
◇アルブミン(ALB):4.1~5.1g/dL

■検査結果から疑われる病気
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 ・全分画の増加:脱水などによる血液濃縮
 ・グロブリン分画の増加:慢性感染症自己免疫性疾患肝硬変多発性骨髄腫など
 低値の場合には、次のことが考えられます。
 ・全分画の減少:大量の補液、やけど出血、吸収不良
 ・アルブミンの減少:ネフローゼ症候群肝硬変、たんぱく漏出性胃腸症、栄養障害など
 ・グロブリン分画の低下:無グロブリン血症、低ガンマグロブリン血症など

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)