心身症〔しんしんしょう〕

 心理的な背景があって、からだの病気の症状が出てくる状態を心身症といいます。
 子どもでは、心身の関係が未熟、未分化なため、心理的ストレスによって容易に身体症状や行動の異常があらわれやすくなっています。したがって、心身症として、あきらかな病気のかたちを示さないで、頭痛や腹痛などの身体症状のうったえを起こすことが多いのが特徴です。大人以上にこころとからだは一体で、からだの心配だけではなく、こころを見守ることも重要です。

■心因性頭痛
 学童期に、精神的ストレスで頭痛が起こることがあります。勉強がストレスになったり、友人関係のトラブルなどで登校したくない、塾やクラブ活動が負担になるなど、いやなことをする前になると痛みが強くなる傾向もあります。
 神経質だったり、自分の気持ちを伝えられない子に多く、子どもの悩みや負担を減らしてあげることが必要です。

■反復性腹痛
 幼稚園から小学校低学年にかけた子どもが、急におへそのまわりを中心にしたおなかの強い痛みをうったえ、10分前後でおさまります。この痛みをくり返します。原因は、精神的緊張、不安、欲求不満などの心理的要因で起こることが多いので、原因を除き、安心感を与えるようにします。

■過敏性腸症候群
 腹痛とともに下痢や便秘をくり返すものです。中学生前後に多くみられますが、成人でも起きています。慢性的になることも多く、ストレスで症状がわるくなります。
 症状により整腸薬、下痢どめ薬、痛みどめをのみ、心理療法をおこないます。

■過換気症候群(過呼吸)
 突然、深呼吸をくり返す過換気発作が起こり、二酸化炭素が減ることによりからだがアルカリ性にかたむき、いろいろな症状が出ます。10~30歳代の女性に多くみられます。転換性障害(ヒステリー)の症状としても出現します。
 呼吸困難、動悸(どうき)、胸が締め付けられるような感じがして、過換気を続けることにより、手足のしびれ、頭痛、意識がボーッとしてきて失神するなどの症状があらわれます。発作時は、おちつかせて、ゆっくり呼吸をさせるようにします。抗不安薬をのんだりすることもあります。発作がないときに心理療法や環境の調整をおこないます。

【参照】こころの病気:心身症

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