睡眠、しっかり取れてますか=健康を阻害する「隠れ不眠」
健康的な生活を送るため食事や運動に気を使っていても、「眠れない」「寝ても疲れが取れない」と悩む人が珍しくない。杏林大学(東京都三鷹市)の古賀良彦名誉教授は「十分な睡眠時間が取れない症状を『隠れ不眠』と呼びます。放置していると健康に影響が出るだけでなく、仕事でミスを犯すなど社会生活にも支障を来すという調査結果もあります」と警鐘を鳴らす。
◇隠れ不眠の5タイプ
隠れ不眠には、(1)生活が不規則になって睡眠が削られる(2)眠らなくても平気、寝るより仕事と、睡眠を後回しにする(3)多くのストレスを抱えて睡眠が不十分になる(4)眠りが浅く、眠ってもすぐに目覚めてしまう(5)それ以外で睡眠に何らかの悩みを持つ初期の隠れ不眠―の5タイプがあり、(1)~(3)の人は「積極的な対策を取った方がいい」と古賀名誉教授は語る。
睡眠は、レム睡眠(体の眠り)とノンレム睡眠(脳の眠り)の繰り返しで、浅い眠りのレム睡眠には情報や記憶を整理し、学習効果を強化する働きがある。一方、深い眠りのノンレム睡眠中に分泌される成長ホルモンは傷んだ組織を修復させる。
睡眠不足が続くと、そうした働きが阻害されるだけでなく、血圧や心臓病のリスクが上がり、免疫機能の低下、心身症や認知症の発症リスクの上昇を招くという。また、平均睡眠時間が6.5~7.4時間の人の死亡率が最も低く、それを超えてもそれに満たなくても死亡率が高くなるという研究データもある。
(2017/08/17 11:25)