卵管炎〔らんかんえん〕

 卵管炎は、腟(ちつ)→子宮頸管(けいかん)→子宮内膜を経る細菌の上行性感染によりひき起こされることが多く、さらに骨盤腹膜炎へとつながっていくこともあります。原因となる細菌には、尿路・消化管の細菌や、淋菌(りんきん)、クラミジア、結核菌などがあります。
 症状としては、急性期では下腹部の強い痛みと発熱がおもですが、慢性期に入ると解熱し、痛みも鈍痛となります。腰痛や全身倦怠(けんたい)感、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)を伴うこともあります。
 治療は、原因となった細菌に対して有効な抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系など)を使用します。軽症の場合、経口薬で十分ですが、症状が強い場合には、入院治療が必要です。卵管炎が十分に治癒しない場合、あるいは治癒しても卵管組織のダメージが大きい場合には、不妊症の原因となることもあります。また、妊娠しても異所性妊娠(卵管妊娠)となることもありますので注意が必要です。

(執筆・監修:千葉大学大学院医学研究院 教授〔生殖医学〕 甲賀 かをり)
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