HAM(成人Tリンパ球性白血病ウイルスによる脊髄症)〔HAM(せいじんTりんぱきゅうせいはっけつびょうういるすによるせきずいしょう)〕

 HAMは、HTLV(成人Tリンパ球性白血病ウイルス)という白血病ウイルスに感染後10年以上たってからゆっくりと歩行障害を起こす病気で、わが国で見つかりました。

[症状]
 HAMは女性に多く、症状は2~3カ月から1年かけてゆっくりと進行します。おもな症状は歩行障害、排尿障害と、足の感覚障害で、左右対称的なことが特徴です。まれな症状として、肺炎、関節炎、シェーグレン症候群、眼球のぶどう膜炎、内分泌障害、筋炎、前立腺炎などを伴うこともあります。時には小脳失調症状や視神経萎縮による視力障害、多発神経炎を併発することもあります。ただし、けいれんや認知症、意識障害をみることはありません。
 発症から歩行不能になるまでの期間は、4カ月から40年間と幅が広いのが特徴です。

[治療]
 治療は副腎皮質ステロイド薬や、インターフェロン・アルファを使用します。予後はよく、この病気で命を落とすことはありません。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)