着床と妊娠の成立

 受精卵は受精後約30時間で2つの細胞へ、約40時間で4細胞、約3日で12~16細胞となり、その間もずっと分割しながらゆっくりと卵管内側の線毛のはたらきで卵管内を子宮へと移動し、受精から4~5日でクワの実のような多くの細胞のかたまり(桑実胚〈そうじつはい〉)となって、子宮に到達します。その後着床のため、ととのえられた子宮内膜の表面の1カ所に接触して中へ侵入するのです。これを「着床」といい、受精後6~7日目に起こります。

 受精卵は分裂の過程で、桑実胚から胞胚(ほうはい)、そして胎芽(たいが)へと成長していきます。胞胚の表面に絨毛(じゅうもう)が形成され、子宮内膜が変化した脱落膜という血流が豊富な組織から酸素や栄養を吸収します。絨毛と脱落膜が将来は胎盤となるのです。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)