運動と脂質異常症

 脂質異常症に含まれる高脂血症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に高くなった状態であり、動脈硬化虚血性心疾患のもっとも重要な危険因子です。
 これら脂質を運搬する役目をもっているのがリポたんぱくと呼ばれる物質ですが、リポたんぱくはその重さによって低比重リポたんぱく(LDL)、高比重リポたんぱく(HDL)など、いくつかに分類されています。
 これらのなかで、LDLコレステロールは別名悪玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化を促進する作用があります。対してHDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、動脈硬化を予防するはたらきがあります。運動にはLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させる作用があります。このことによって、運動が脂質代謝を改善し、動脈硬化を予防すると考えられています。
 脂質異常症に対する運動としては、筋力トレーニングよりは持久型のトレーニングのほうがよく、運動の強さは中等度がよいとされています。

【参照】内分泌・代謝異常の病気:脂質異常症

(執筆・監修:自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第1講座 主任教授/循環器内科 教授 藤田 英雄)