運動は両刃の剣 家庭の医学

 さて、運動はすべての病気を予防し、老化を防止し、寿命を延長するなどいいことずくめのように書いてきましたが、実は運動は両刃の剣なのです。運動によってはいろいろな弊害が起こる可能性があります。
 そのなかでは運動中の突然死というニュースがよく報道されていますし、運動中の身体の急変による事故も起こりえます。また運動による内科的な障害として、心筋虚血発作の誘発や心不全の増悪(ぞうあく)、不整脈の誘発などがありますし、整形外科的な障害としては骨折や捻挫(ねんざ)、アキレス腱の断裂や関節の障害などいろいろな合併症が起こります。
 運動をするにあたってはこれらの点に注意し、危険が予想される人では事前に十分なメディカルチェックを受けることや、適切な運動処方にもとづいて運動をするといった注意が必要でしょう。

(執筆・監修:自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第1講座 主任教授/循環器内科 教授 藤田 英雄)