運動と糖尿病 家庭の医学

 糖尿病にはインスリンの分泌機能の障害によって起こる1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と、インスリン受容体の感受性低下によって起こる2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)があります。中年以降に発症する糖尿病のほとんどは後者ですが、運動にはインスリン受容体の感受性を高めるはたらきがありますので、2型糖尿病には運動療法がきわめて有効です。
 糖尿病の運動療法は、適応の有無をよくみたうえで決定することが必要です。一般的にコントロールされていない糖尿病では、運動によって低血糖・高血糖やケトーシスという状態を招く可能性があります。また網膜症腎障害神経障害などを合併した糖尿病では運動はある程度の注意をもっておこなう必要があります。
 糖尿病の運動療法としては、軽~中等度の強さの全身運動がよいとされています。また日常運動量と糖尿病の発症の間に密接な関係があり、運動習慣のある人ほど糖尿病の発症が少ないことが報告されています。

(執筆・監修:自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学第1講座 主任教授/循環器内科 教授 藤田 英雄)