はり(鍼)・きゅう(灸) 家庭の医学

解説
 はり(鍼)・きゅう(灸)は漢方とならんで、わが国の伝統医学です。漢方が薬草を用いて治療するのに対して、はりときゅうを用いる治療法です。
 はり(鍼)というと縫い針をイメージしがちですが、とても細いものです。鍼を刺した刺激によって治療する方法です。材質はステンレス、金、銀などがあります。はり(鍼)による感染症を予防するために、最近では使い捨てのステンレス鍼がよく用いられていますし、また、その人だけに用いるようにはり(鍼)をキープすることが広くおこなわれています。
 きゅう(灸)はもぐさを用いますが、これは薬草のヨモギ(艾)の葉を乾燥し、石臼(いしうす)でひいて、葉の繊維だけを取り出したものです。熱刺激によって治療する方法です。きゅう(灸)は小さなやけどを起こして、その反応で病気を治そうとするわけですが、やけどはさせずにツボをあたためるだけの場合には、間接灸といって、薄いにんにくやしょうがのスライスを皮膚に置いて、その上からきゅう(灸)をすることもあります。

(執筆・監修:医療法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター和漢診療科 顧問 寺澤 捷年