寺澤捷年 医師 (てらさわかつとし)

千葉中央メディカルセンター

千葉県千葉市若葉区加曽利町1835-1

  • 和漢診療科
  • 部長

東洋医学 内科

専門

和漢診療学、冷え症

寺澤捷年

寺沢捷年医師は、千葉大学在学中より西洋医学と並行して藤平健・小倉重成に師事し、漢方を学ぶ。日本初の漢方と西洋医学を統合する和漢診療部を設立した富山医科薬科大学の教授・医学部長・病院長、日本東洋医学会会長などを歴任。「漢方はわが国の統合医療の中核をなしていくもの」という理念をもち、漢方のもつ構造主義的視点を活用し、西洋医学的叡智を取り込んだ「日本型統合医療」を進めることが重要とする。著書「症例から学ぶ和漢診療学」は漢方診療の入門書として、ドイツ・中国・韓国で翻訳される。

診療内容

漢方のもつ構造主義的視点を活用し、西洋医学的叡智を取り込んだ「日本型統合医療」を提唱する寺澤医師。「漢方的な診断と西洋医学の診断を併せて行います。治療方法も漢方薬を単独で用いることもあれば、漢方薬と新薬を併用することもあります」とのこと。現在の割合は、漢方薬が90%、西洋新薬との併用が10%ほどだという。
診察は、具体的には下のような流れで進んでゆく。
「漢方治療において大切なことは、患者さんの症状や状態“証”を見極めることです」(寺澤医師)
そのために、診察では問診や診察に重点が置かれる。その際、西洋医学的手法が有効と考えられれば検査(血液検査・レントゲン検査・超音波検査・内視鏡検査・CT検査など)も行う。
患者の症状や状態(証)を把握した後には、治療として用いる薬“方剤”が決定される。方剤とは何十種類という生薬(草木の根や葉など)のなかから、いくつかを組み合わせたもの。たとえば風邪によく使用される葛根湯は、葛根・芍薬・麻黄・生姜・大棗・桂枝・甘草という生薬を組み合わせた方剤なのだ。
「生薬を単独で用いるのではなく、別々の薬効をもった生薬を組み合わせることにより、複合作用で大きな効果を生み出しているのです。しかも、使用される生薬の量は一定の比率が古来より編み出されており、やみくもに混ぜ合わせても効果は期待できません」(寺澤医師)さじ加減ともいうべきこの比率こそに、漢方治療の鍵があるという。とはいえ、決まった方剤を処方するだけが治療ではない。証は治療によって変化し、季節や住んでいる環境にも影響されるもの。治療の経過によって生薬の量を加減したり1~2種類追加したりすることもあるそう。
「また、不快な症状がいくつもある場合は、一度に全てを良くすることは難しいもの。そのようなときは、いちばん辛い症状を最初に治療し、それが良くなったら次の症状を治療して…と順番に治していきます。このような場合は、途中で方剤が変わることがあります」(寺澤医師)さらに、方剤は最初から必ずぴったり合うことばかりでもないため、要所で方向修正をするために方剤を変えたり、量を増やしたり減らしたりすることもある。患者の身体や症状に合うように調整するため、一人ひとりがオーダーメイドの薬を飲んでいることになるというわけだ。なお、方剤はそのまま飲むことができず、お湯で煎じることが必要。方剤によって若干の違いはあるものの、たいていは600mlほどの水に生薬を浸し、弱火で30分ほど煎じていく。当初の約1/3の200ml程度になれば完了。あとは、少し冷まして(人肌程度)から飲むだけ。忙しい人であれば、前日の夜に煎じたものをペットボトルなどに移し替えて冷蔵庫に保管しておいてもいい(飲む前に電子レンジで少し温めてもよい)そうだ。また、煎じ薬が面倒な場合はエキス剤もある。これは生薬の煎じ液を乾燥させ顆粒、あるいは細粒状にしたもの。煎じ薬に比べると、若干効果が劣るという。「エキス剤では生薬の組み合わせや比率が一定しているので、煎じ薬のように細かな調節ができません。ですから、業務で出張の多い方、煎じる時間が取れない多忙な方、症状が軽いときや短期間の治療で済みそうなときに使用することが多いですね」
「一般的には3~4週間で効果が分かります。患者さんの7割ほどは女性ですね。天然の草根木皮を使うので、安心感があるのでしょう。漢方では処方を決めるために、患者さんの話をよく聞かなければなりません。初診では30分くらい診察にかかります。そうした診療が、高い満足度につながっていると思います」(寺澤医師)
また、漢方薬は副作用がないと思われがちだが、まれに副作用が出ることも。
「甘草という生薬の成分が蓄積しやすい体質の人は、長期間の服用で血圧が上がり、むくみが出ます。まれに、命にかかわる間質性肺炎を起こすことがあります。薬剤性の肝障害の心配もあります」大事に至らないようにするため3~4ヵ月ごとに血液検査を受けることを、寺澤医師はすすめている。

医師プロフィール

1970年 千葉大学医学部 卒業
1979年 富山医科薬科大学和漢診療部講師
1982年 富山医科薬科大学和漢診療部助教授
1990年 富山医科薬科大学和漢診療部教授
1999年 富山医科薬科大学和漢診療部医学部部長
2002年 富山医科薬科大学和漢診療部副学長・病院長
2005年 千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座教授
2010年 千葉中央メディカルセンター和漢診療科部長